私もこれまでの記事で、「年功序列よりも個人を評価すべき」という考え方を書いてきました。
「頑張って成果を出しているんだから、その分もっと評価してほしい。」
営業や現場管理の仕事をしていると、そう感じる場面は少なくありません。
ところが先日、ウレタン王子のチャンネルで井口社長が経営コンサルティングを行っている動画を見て、少し考え方が変わりました。
※参考にした動画は記事の最後に掲載しています。
動画の中で特に印象に残ったのが、「経営者は給料表を作るべき」という話です。
私はこれまで、給料表というものは単なる賃金一覧くらいにしか考えていませんでした。しかし、話を聞いているうちに、これは社員の人生設計を支えるための制度なのだと感じるようになりました。
一般的に会社へ就職し、定年まで勤めるとすると、人生には年代ごとに大きな支出があります。
20代・・・独身・一人暮らし・趣味
30代・・・結婚・出産・マイホーム
40代・・・教育費・車・住宅ローン
50代・・・大学進学・親の介護・老後資金
60代・・・老後資金
もちろん、私のように独身で生活スタイルが違う人もいますし、結婚や住宅購入のタイミングも人それぞれです。
それでも、多くの人は年齢とともに必要なお金が増えていくという流れは共通しています。
昔、多くの企業が終身雇用を前提とした年功序列型の給与制度を採用していたのは、この人生設計を支える意味合いも大きかったのではないでしょうか。
会社の役割は社員を雇うことだけではありません。
社員が安心して家庭を持ち、子どもを育て、生活していける環境を支えることも、大切な役割の一つです。
もし完全な成果主義だった場合、たまたま成果が振るわなかった年に子どもの大学進学と重なり、「行かせてあげたいけど、お金が足りない」という状況になる可能性もあります。
もちろん成果を評価することは重要です。
しかし、人生で必要なお金は成果とは関係なくやってきます。
そう考えると、年齢や勤続年数に応じて安定的に昇給していく仕組みには、生活を守るという意味で大きな価値があったのだと思います。
動画の中でも「給料表を作るべき」という話がありました。
公務員や大企業では珍しくありませんが、私の勤める会社には明確な給料表がありません。
基本的には成果による評価が中心で、評価基準も数値化されているわけではなく、会社が求める成果や姿勢を総合的に判断する形です。
営業や現場管理という仕事柄、成果による評価は必要ですし、私自身も成果はきちんと評価してほしいと思っています。
ただ、その一方で、成果が思うように出なかった年に生活まで大きく左右される制度が、本当に社員を守る仕組みなのかと考えるようになりました。
動画内でも話されていますが、年齢や勤続年数をベースにした給料表を作り、その上で資格手当や役職手当、さらに成果に応じたインセンティブや賞与で評価する制度にすることである程度出来る人も評価されますし、敬遠されがちの役職にも意義が出てきます。
これなら社員は将来の生活設計がしやすくなりますし、会社側も長期的な人件費を見通しやすくなります。
もちろん、創業間もない会社では年功的な昇給が積み重なれば固定費が増え、経営を圧迫することもあるでしょう。
しかし、私の勤める会社は創業から30年以上が経ち、創業時の社員も定年を迎えています。
賃金構造も一巡し、世代交代が進んでいる今だからこそ、給与制度を改めて設計し直すタイミングなのかもしれません。
もちろん、この制度でも「もっと成果に応じて稼ぎたい」という人には物足りなく感じるでしょう。
そういう人は独立したり、大企業で能力を発揮したりする道もあります。
一方で、多くの人は「安定して働き、家族を養える会社」を求めています。
会社としても、誰が担当しても一定の成果を出せる仕組みを整えることで、こうした給与制度はより機能するようになるはずです。
若手を高い初任給で採用しなければ人が集まらない時代になりました。
だからこそ、初任給だけではなく、「この会社に長く勤めれば安心して人生設計ができる」という将来像を示せる会社が、これから改めて評価されるようになるのではないでしょうか。
年功序列には確かに欠点もあります。
しかし、終身雇用と組み合わせて社員やその家族の生活を守るという役割は、決して悪いものではなかった。
成果主義が当たり前になった今だからこそ、昔の制度の良かった部分をもう一度見直してもいいのかもしれません。
【参考動画】