お盆休み。お墓参りも兼ねて、同じ街の中ではありますが普段あまり行かない親戚宅をあちこち回っていました。
その中には、元々住んでいた人が亡くなり、今では空き家になっている家もあります。
まだ仏壇はそのまま置いてあるので、中に入って仏壇にも手を合わせて帰りました。
地方の田舎ですので、正直なところ住宅としての需要はほとんどありません。
売りに出したところで買い手が現れるか分かりませんし、貸そうにも借りる人がいるのかどうか。
取り壊さない限り、このままずっと空き家として残っていくんだろうな~という家もあります。
ただ、建物だけを見ると結構立派なんですよね。
今から同じような家を建てようと思ったら、それなりのお金が掛かりそうな家もあります。
「これ、誰も使わないの勿体ないよな~」
なんて思いながら見ていました。
昔から家がある場所には意味がある?
そんな親戚宅を何軒か回っていて、建物そのもの以上に気になったことがあります。
それが「家が建っている場所」です。
古くからある家って、当然ですがずっとそこにあるんですよね。
何十年どころか、土地として考えれば何百年と一族が住み続けてきた場所もあるでしょう。
家自体は建て替えられていても、
「この辺りに家を建てて暮らす」
という選択は、何世代にもわたって引き継がれているわけです。
そう考えると、これって結構すごいことなんじゃないでしょうか。
現在の住宅なら地盤調査をしたり、しっかりとした基礎を造ったり、耐震性を考えたりします。
一方、何十年、何百年も前から人が暮らしてきた土地では、今ほど高度な調査ができたわけではありません。
それでも長い間そこに家があり、人が暮らしてきた。
もちろん単なる偶然もあるでしょう。
それでも、昔の人なりに
「ここなら水が来ない」
「ここなら山が崩れにくい」
「この高さなら川が増水しても大丈夫」
といった経験則があったんじゃないかな~と思います。
災害の歴史は土地に残っている
先月末の熊本地震や、一昨日の千葉の大雨による浸水など、最近も自然災害のニュースが続いています。
地震、大雨、洪水、土砂災害。
災害そのものを完全に避けることはできません。
ただ、災害が起こりやすい場所というのは、昔からある程度決まっていたとも言われます。
その名残が「地名に残っている」という話もありますよね。
例えば「蛇」の文字が入る場所は、大雨の際に大蛇が這うような激しい水の流れがあったとか、「鬼」の付く場所には荒々しい自然現象にまつわる由来があるとか。
もちろん地名の由来は地域によって全く違いますし、「この文字があるから危険」と単純に判断できるものではありません。
ただ、昔の人が土地の特徴や過去に起きた出来事を、地名や言い伝えという形で後世に残した例があるのも確かでしょう。
今のようにハザードマップもスマホもありません。
「昔ここまで水が来た」
「この山は昔崩れた」
「この辺りには家を建てない方がいい」
そんな情報を、人から人へ伝えていたのかもしれません。
そう考えると、何世代にもわたって家が残っている場所そのものが、一つの情報なのかもしれませんね。
人間が土地の使い方を変えてきた
一方で、昔安全だった場所が今も安全とは限りません。
人間が地形を大きく変えているからです。
昔の川は現在のようにコンクリートで固められていませんし、大雨になれば水が広がる場所もあったでしょう。
その代わり、そこには最初から家を建てなかった。
ところが堤防を造り、川を狭い範囲に押し込み、土地を造成することで、それまで住宅地ではなかった場所にも家を建てられるようになりました。
もちろん、それによって利用できる土地が増え、便利になった面は非常に大きいです。
ただ、人間が「ここまで水が来る」「ここまでなら大丈夫」と自然の許容量を決めてしまった部分もあります。
その想定を超える雨が降れば、一気に問題が表面化します。
逆に言えば、昔から災害を避けるように選ばれ、何世代にもわたって住宅が残っている土地には、単純な土地価格とは違った価値があるのかもしれません。
駅から何分、スーパーまで何分、学校まで何分。
現在の不動産ではそんな利便性が重要視されます。
でも、
「ここに何百年も人が住み続けている」
という実績も、本当はかなり重要な情報なんじゃないでしょうか。
不動産は動かない。でも周りは動く
そして今回、お墓まで歩いていてもう一つ気になったことがあります。
「不動産」という名前の通り、家や土地は基本的には動かない資産です。
家なんて、わざわざ動かないようにしっかり基礎まで造っています。
でも、家が動かなくても周りの地球は動くんですよね。
お墓へ通じる道を歩いていると、人間が造った壁の一部がせり出していたり、少し崩れていたりする場所がありました。
大規模な土砂崩れというほどではありません。
それでも長い年月をかけて、少しずつ地形は変わっています。
雨が降れば土は流れます。
川も削ります。
植物の根も張ります。
地震が起これば地面そのものが動きます。
人間から見れば「ずっと同じ場所」でも、何十年、何百年という単位で見れば、周囲の環境は少しずつ変化しているんですよね。
お墓だって永遠に同じ場所でいいとは限らない
今回行ったお墓の裏側も山になっています。
以前はそれなりに距離があったのでしょうが、長い年月の中で少しずつ侵食され、現在では
「この場所、将来的に大丈夫なのかな?」
と思うくらいになっていました。
お墓なんて「動かさないもの」の代表格みたいな存在です。
一度建てたら、子供、孫、その先まで同じ場所にあることを前提に考えます。
でも、その場所を取り巻く環境は変わります。
それに自然環境だけではありません。
親戚一同が高齢になって、お墓まで歩いて行くこと自体が大変になってきています。
昔なら何でもなかった山道が、今ではかなりの負担です。
そう考えると、
「先祖代々ここだから、これからも絶対ここ」
と考えるだけではなく、自然環境やお墓を守る人たちの状況に合わせて、適切な場所へ移すことを考えるのも必要なのかもしれません。
動かないものだから、一度決めたら終わり。
ではなく、
動かしにくいものだからこそ、時々その場所が現在も適切なのか確認する。
そんな考え方も必要なんでしょうね。
「動かない資産」だから場所が一番大事
家もお墓も、基本的には簡単に動かせません。
だからこそ「どんな物を建てるか」と同じくらい、「どこに置くか」が重要になります。
家なら間取りや設備、断熱性能、耐震性能。
どうしても建物そのものに目が行きます。
でも、どれだけ立派な家を建てても土地は後から簡単には変えられません。
昨今は「想定外」と言われる災害も増えています。
ただ、過去をずっと遡ってみれば、
「実は昔から水が出る場所だった」
「昔から崩れやすい山だった」
「昔の人はそこには家を建てていなかった」
なんてこともあるかもしれません。
逆に、何世代にもわたって家が建ち続けている場所には、それなりの理由があるのかもしれない。
お盆に親戚宅やお墓を回っただけなんですが、そんなことを考えてしまいました。
不動産というと「価格」や「資産価値」の話になりがちです。
でも本来は、文字通り簡単には動かせないもの。
だからこそ、その場所の現在だけではなく、過去を知り、未来を想像して選ぶことが大切なんでしょう。
ただ……。
安全で、便利で、災害にも強くて、将来的にも価値がありそうな場所。
そんな「いい土地」は、当然ながら高いんですよね~。
だったら少し不便でも、昔から人が暮らし続けてきた土地を探してみる。
そんな視点で、
田舎も選択肢に入れてみませんか?