最近、「地方の財政って本当に厳しくなっているんだな」と感じる場面が増えました。
国全体では過去最高の税収というニュースを目にしますし、地方交付税などを通じて地方自治体へ財源が配分されています。しかし、その一方で人口減少が進む地方では自主財源の確保が難しくなり、実際の財政運営には厳しさが見え隠れしています。
特に感じるのは、県庁所在地や人口の多い都市ではなく、おおむね人口10万人以下の市町村です。
私たち建設業に携わる人間は、公共施設の工事や道路整備などを通して、自治体の予算の動きを比較的身近に感じる機会があります。
少し前までは、毎年とは言わないまでも、1~2年に1件程度は公共施設の建て替え工事がありました。
ところが最近では、新築建て替えの話をほとんど耳にしません。
今後2~3年先を見ても計画が少ない印象で、目立つのは既存施設を改修し、できるだけ寿命を延ばそうという案件ばかりです。
さらに、改修費用と維持管理費を考えると採算が見合わない施設については、地域住民と協議した上で、利用者が少なければ廃止・解体という流れも少しずつ増えてきています。
もちろん、近くに代替施設があるのであれば、それも一つの合理的な判断なのでしょう。
もう一つ気になるのが道路の維持管理です。
大きな穴が開いた道路は応急的にアスファルトを詰めて補修されていますが、大雨などで広範囲に傷んだ道路を見ると、以前であればある程度まとまった範囲を舗装し直していたような場所でも、最近は最低限の応急処置だけで終わっているケースが目立つようになりました。
交通量の多い国道や県道は、国や県の管理ということもあり比較的早く修繕されています。
しかし、昔は国道だった道路がバイパス開通によって市道や町道へ移管された区間では、事情が少し違います。
実際には地域の生活道路として多くの人が利用しているにもかかわらず、十分な補修が行われないままになっている場所をあちこちで見かけます。
営業で各地を回っていると、「去年もここ傷んでいたな」「一昨年よりさらに悪くなっているな」と感じる道路が少なくありません。
舗装が悪化すれば車両への負担も増えますし、安全面でも決して好ましい状況ではありません。
道路だけではありません。
全国では老朽化した水道管の破損事故も度々ニュースになります。
大きな事故が起きれば当然対応されますが、同じような状況になる可能性のある老朽インフラは全国に数多く残っています。
道路、橋、水道管、公共施設。
どれも生活には欠かせないものですが、限られた予算の中で優先順位を付けながら維持していかなければならない時代になっています。
人口減少が進む地方では、若い世代の減少によって働く人も企業も少なくなります。
その結果、自治体独自の税収は伸びにくくなり、今後も財政運営は厳しさを増していくでしょう。
一方で都市部は人口や企業が一定数集まるため、地方ほど急激な影響は受けにくいかもしれません。
こうした地域間の差は、これからさらに広がる可能性があります。
建設業という立場から見ても、この変化は決して他人事ではありません。
以前なら新築や大規模更新だった工事が、補修や延命工事へと変わり、さらにその補修ですら最低限の応急処置に留まるケースが増えています。
つまり、「仕事が減る」という単純な話ではなく、公共工事そのものの性質が変わり始めているように感じます。
道路の凸凹一つ見ても、その背景には人口減少や財政事情、インフラの老朽化など、さまざまな課題が見え隠れしています。
普段何気なく通っている道路も、「なぜ直らないのか」という視点で見てみると、地方財政の現状が少し見えてくるのかもしれません。