先日、私の会社のメールアドレス宛にこんなメールが届きました。

件名を見ると、どうやら私は誰かに対してパワーハラスメントを行った疑いがあるそうです。
内容を読むと、
- 言動による威圧
- 過度な叱責
- 精神的な圧迫
などが匿名で通報されており、調査のために指定されたリンクから詳細を確認し、回答するよう求められています。
普通に読めばちょっとドキッとする内容ですよね。
「え?誰だろう?」
「何か誤解されたかな?」
「とりあえず確認した方がいいのかな?」
そんな心理を狙ったメールなのでしょう。
ですが私はリンクをクリックしませんでした。
というより、クリックする前から違和感だらけだったんですよね。
まず大前提として、うちの会社に人事部がありません
メールには「人事部・ハラスメント相談窓口」と書かれています。
しかし、うちの会社には人事部なんて存在しません。
社員数も少ないので、そういった話があれば社長や上司と直接話をする形です。
さらに社内コンプライアンス規定についても、正直なところ大企業のように厳密な運用をしているわけではありません。
仮に何か問題が発生したとしても、
「ちょっと事務所来て」
という形で対面になるでしょう。
わざわざメールでリンクを送りつけるような会社ではありません。
この時点でかなり怪しいです。
「社員の皆様へ」なのに個人宛?
次に気になったのが書き出し部分。
メールの冒頭には、
社員の皆様へ
と書かれています。
ところが内容は、
あなたによるパワーハラスメント行為について
という個人を対象にした話です。
普通に考えるとおかしいですよね。
本当に特定の社員へ送るのであれば、
- ○○様
- ○○部 ○○様
- ○○課長
などの表記になるはずです。
「社員の皆様へ」という全体向けの書き出しと、個人への調査通知が同居しているのは非常に不自然です。
こういう細かい違和感は詐欺メールによくあります。
匿名通報なのにプライバシー保護?
さらに気になったのが、
本件を他者に口外しないよう厳守をお願いいたします
という一文。
匿名通報であるにもかかわらず、プライバシー保護を強調しています。
もちろん実際のハラスメント調査でも守秘義務はあります。
しかし、このメールの場合は
- 誰が通報したか不明
- 具体的な事実も不明
- 調査主体も不明
という状態。
にもかかわらず「口外禁止」を強調しているのは、冷静に考える時間を与えないための心理誘導にも見えてしまいます。
回答期限が異常に短い
メールには、
回答期限:明日17時まで
と書かれていました。
これも典型的なパターンです。
詐欺メールはとにかく相手を焦らせます。
- アカウント停止
- 未払い料金
- 荷物の再配達
- クレジットカード利用停止
などと同じですね。
人は焦ると確認作業を飛ばします。
特に今回のように
「パワハラをした」
と言われると精神的なダメージも大きいので、冷静な判断ができなくなる人もいるかもしれません。
大企業ほど引っ掛かりやすいかもしれない
今回の私は、
「うちに人事部ないしな」
で終わりました。
しかし大企業だったらどうでしょう。
- 人事部がある
- コンプライアンス窓口がある
- 社内ポータルがある
- ハラスメント研修もある
こういう会社では、メールの設定自体はかなり現実味があります。
実際に似たような制度が存在している会社も多いでしょう。
だからこそ、
「本物かもしれない」
と思ってクリックしてしまう危険があります。
詐欺メールは必ずしも不自然な日本語だけではありません。
最近は生成AIなども使われているのか、日本語もかなり自然になっています。
そのため、
「内容が本当にありそうか」
ではなく、
「送信元は正しいか」
「社内の正式な運用と一致しているか」
を確認することが重要になってきます。
詐欺メールは会社規模によって姿を変える
面白いというか厄介なのは、詐欺メールを送る側も相手に合わせて内容を変えてくることです。
個人向けなら、
- Amazon
- 楽天
- クレジットカード
- 宅配業者
などを装います。
企業向けになると、
- 人事評価
- 勤怠管理
- 給与明細
- コンプライアンス
- 電子請求書
など業務に関係する内容になってきます。
つまり、自分の会社で本当に使っていそうなものほど危険なんです。
一番大切なのは「違和感」を無視しないこと
今回のメールも、一つ一つ見ると小さな違和感ばかりです。
しかし、
- 人事部が存在しない
- 社員の皆様へなのに個人調査
- 匿名通報なのに妙な表現
- 回答期限が異常に短い
- 外部リンクへ誘導
こうして並べると怪しさ満点です。
詐欺メールの多くは、
「早く確認しなければ」
という気持ちを利用してきます。
逆に言えば、
「何か変だな?」
と感じたら一度立ち止まるだけで防げるケースも少なくありません。
世の中には本当に様々な詐欺メールが飛び交っています。
今回はたまたま私が「パワハラしたらしい」という話でしたが、明日は別の形で届くかもしれません。
皆さんも、メール内のリンクをクリックする前に、
『この会社なら本当にこんな連絡をするだろうか?』
という視点で一度考えてみてください。
その数秒の確認が、大きな被害を防ぐことにつながるかもしれません。