世の中のいろんな確率や割合は「%」で表記されます。
ニュースでも、税金でも、天気予報でも、ギャンブルでも、投資でも、何かと数字が出てきます。
そして数字で出されると、なんとなく正確で、なんとなく説得力があるように感じます。
でも今回は、その数字について少し考えてみます。
少し前に「全国自治体の固定資産税の計算間違いがあった自治体が96%、あるいは97%にもなる」といった報道を目にしました。
全国に約1700ある自治体の97%となれば、間違いなく正確に処理できていた自治体は50程度しかない、という見え方になります。
この数字だけを見ると、
「日本全国、固定資産税が間違いだらけじゃないか」
「自分のところも確認しないと危ない」
となります。
もちろん確認すること自体は大事です。
税金の計算ミスで払い過ぎている可能性があるなら、それは見過ごせない話です。
ただ、この97%という数字が何を示しているのかは、少し冷静に見る必要があります。
この場合の97%は、あくまで「間違いがあった自治体の割合」です。
極端に言えば、ある自治体で1000軒中1軒だけ間違いがあっても「ミスあり」です。
一方で、1000軒中1000軒間違えていても、同じく「ミスあり」です。
つまり、この数字だけでは「どれくらいの件数が間違っていたのか」までは分かりません。
全国の自治体の97%でミスがあった、という表現と、全国全世帯のうち何%にミスがあった、という表現では、受ける印象が大きく変わります。
仮に全世帯の10%で固定資産税にミスがあったとしましょう。
「全国全世帯の10%で固定資産税にミス」
「全自治体の97%で固定資産税にミス」
どちらがインパクトが大きく見えるでしょうか。
おそらく後者でしょう。
後者の方が、日本全国ほぼすべてで問題が起きているように見えます。
報道としてもキャッチーです。
ただし、だからといって数字が嘘というわけではありません。
問題は、その数字が「何を分母にしているのか」「何を数えているのか」という部分です。
固定資産税のような制度は、そもそも複雑です。
土地、建物、評価額、軽減措置、制度変更、入力処理。
間違いが起きやすい構造があることも理解できます。
だからこそ、単に97%という数字だけで受け取るのではなく、その中身を見る必要があります。
もう一つ、確率の話で分かりやすいのがパチスロです。
私の好きなパチスロで考えてみます。
ここ一カ月ほど話題だった機種で言えば、スマスロミリオンゴッドでしょうか。
一番レアな役としては、GOD図柄揃いがあります。
確率は1/16394。
とんでもなく重い確率です。
1日8000ゲームほど回せると考えると、単純な確率上は2日に1回くらい引けるかどうか、というレア役になります。
しかし、確率上2日に1回だからといって、きれいに2日に1回引けるわけではありません。
毎日引けることもあれば、1日に複数回引くこともあります。
逆に、1週間まったく引けないこともあります。
ここでよくあるのが、
「あの台、今日もうGOD引いてるから、しばらく引けないだろう」
という考え方です。
でも、これは確率の考え方としては少し違います。
スロットは構造上、毎ゲームごとに抽選しているイメージです。
65536個のルーレットがあって、その中にGOD揃いの当たりが4つあるようなものです。
その4つのうち1つに当たったとしても、次のゲームから当たりが3つに減るわけではありません。
次のゲームも、また同じように当たりは4つあります。
つまり、いつ引いても確率は変わりません。
逆に、
「もう6日引いてないから、今日はそろそろ引ける」
という考え方も同じです。
昨日まで引けていないからといって、今日の確率が上がるわけではありません。
毎回、同じ確率で抽選されているだけです。
もちろん実際の機種では、そこからさらに別の抽選があったり、状態による違いがあったりして、もっと複雑な部分もあります。
ただ、基本的な考え方としては、過去に引いたかどうかで次の確率が変わるわけではない、ということです。
これはパチスロに限った話ではありません。
天気予報の降水確率も、%で表示される代表的なものです。
「明日の降水確率90%」
こう聞くと、かなりの確率で雨が降ると感じます。
ただ、この90%は「一日中90%の時間雨が降る」という意味ではありません。
「雨の量が多い」という意味でもありません。
朝の出勤前に1時間だけ雨が降って、その後はずっと晴れていたとしても、雨が降ったなら予報としては外れではありません。
逆に、1日中降り続いても90%です。
少しも降らなければ外れですが90%の確率なので降らない方も10%あります。
ここでも大事なのは、その%が何を示しているのかです。
降水確率は、雨の強さや降る時間の長さを表す数字ではありません。
あくまで、雨が降る可能性を示す数字です。
このように、世の中のかなりのことは数字や%で表されています。
ただ、その数字は「正しい」かもしれませんが、受け取り方を間違えると、まったく違う印象になります。
自治体の97%なのか。
全世帯の10%なのか。
1/16394を毎回抽選しているのか。
降水確率90%が雨量を表しているのか。
数字を見る時には、まず分母を考える必要があります。
何に対しての割合なのか。
何を1回として数えているのか。
その数字は件数なのか、割合なのか、確率なのか。
そして、自分にとって本当に必要な数字はどれなのか。
ここを見ないまま数字だけを受け取ると、必要以上に不安になったり、逆に油断したりします。
これらの数字の取り扱いは、難しい数学というより、小学校で習う算数で大半が処理できる内容です。
分母と分子。
割合。
確率。
平均。
件数。
勉強なんて必要ない、という話ではありません。
むしろ最低限の算数が分かっていないと、世の中に出てくる数字を正しく受け取れない場面が増えているように感じます。
数字は便利です。
%で表すと分かりやすくなります。
でも、分かりやすい数字ほど、印象だけが先に走ることもあります。
その数字は何を表しているのか。
その%は本当に自分に関係ある数字なのか。
大きく見えるように切り取られていないか。
ニュースを見る時も、天気予報を見る時も、パチスロを打つ時も、数字や確率について今一度考えてみる必要がありそうですね。