昨日、建設業における塗料や糊などの不足について書きましたが、今日はそれに関連して「食料品の梱包」について思うところを書いてみます。
少し前に発表された、カルビーのポテトチップスの包装を白黒にするという話。
原因としては、ナフサなどに由来する着色用の塗料不足に対応するためということでした。
これを聞いた時、単純に「塗料が足りないから色を減らすんだな」という話で終わらせるには、かなりもったいない出来事だと感じました。
もちろん、包装に使う色を減らせば、塗料の使用量を抑えることができます。
不足している材料に対して、値上げや出荷制限だけではなく、仕様変更で対応するというのは分かりやすい企業努力です。
ただ、今回の件で本当にすごいと思ったのは、そこだけではありません。
一番大きいのは「宣伝広告効果」ではないでしょうか。
カルビーの年間の宣伝広告費をIR資料で見ると、年間で約54億円使われているようです。月にすれば4億円以上です。
それだけの費用をかけて、普段から商品名や企業名を消費者に思い出してもらうための広告を出しているわけです。
ところが今回、「ポテトチップスの包装を白黒にする」という発表をしたことで、民放各社はもちろん、普段は広告を出すことができないNHKですらニュースとして取り上げることになります。
これって、ものすごいことですよね。
普通ならお金を払っても出せない場所で、ニュースとして企業名と商品名が取り上げられる。
しかも内容としても悪い印象ではありません。
「塗料不足に配慮している」
「値上げだけではなく企業努力している」
「パッケージが珍しいから見てみたい」
「旧パッケージと新パッケージを並べてSNSに投稿したい」
こういった反応が自然に生まれやすい内容です。
しかも、これにかかる宣伝広告費は実質0円。
それどころか、色数を減らすことで一時的にでも製造コストを下げられる可能性があります。
つまり、今回の判断は単なる「塗料不足への対応」ではなく、
・材料不足への対応
・コストダウン
・企業努力のアピール
・商品名の再認知
・SNSでの拡散
・ニュースによる無料広告効果
これらを一つの行動で同時に取っているわけです。
ここが一流企業らしいところだと感じます。
さらに重要なのは「一番手」で出したことです。
こういう取り組みは、二番手・三番手になると一気に報道価値が下がります。
仮に他社が後から同じように白黒パッケージを発表したとしても、ニュースでは、
「先日、カルビーもポテトチップスのパッケージを白黒にすると発表しており、塗料不足の影響が広がっています」
という形で、またカルビーの名前が出る可能性があります。
一番最初に動いた企業は、その後に同じ流れが広がった時にも、基準点として名前を出してもらえるんですよね。
これはかなり大きいです。
建設業でも、材料不足や値上げの話はどうしても後手後手になりがちです。
「足りません」「値上げします」「納期未定です」という情報が出てきてから慌てて対応することが多い。
しかし今回のカルビーの動きは、ただ困ったから対応したというより、困った状況を逆に利用して、企業イメージまで上げにいったように見えます。
もちろん、実際の社内事情までは分かりません。
本当に塗料不足への緊急対応として進めた結果、たまたま大きな宣伝効果が出たのかもしれません。
それでも、こういう判断を素早く表に出せるというのは、やはり経営トップや企画側の動きが早いのだと思います。
数億円規模の広告効果を0円で得る。
SNSで話題になる。
NHKまでニュースとして取り上げる。
材料不足への配慮も伝わる。
場合によってはコストダウンにもなる。
一つの出来事で、これだけ複数のメリットを取ってしまう。
これが一流企業の行動力なのかなと感じます。
材料不足や物価上昇は、どの業界にとっても厳しい問題です。
ただ、その厳しい状況を「ただの値上げ理由」にするのか、「企業努力を見せる機会」に変えるのかで、消費者からの見え方は大きく変わります。
今回のカルビーの白黒パッケージは、その見せ方が非常に上手い事例だったと思います。
ピンチをピンチのまま終わらせず、話題性と企業イメージに変えていく。
こういう判断ができる企業は、やっぱり強いですね。