今日、仲のいい内装業者から一本の電話。
「元請けさんがさ、『仕上げの壁紙は買ってるけどゴミは買ってないから持って帰れ』って言いだしたんだけど、今どきそんな会社ある?なんて返したらいいかな?」
…まだいるんだ。
正直、それが最初の感想でした。
20年前ならあった話
私がこの仕事を始めた20年以上前。
「ゴミは持って帰れ」
これは普通にありました。
ですがここ10年、ほとんど聞きません。
なぜか?
法律が変わったからです。
建設廃棄物の責任は誰にある?
建設現場で出る産業廃棄物、いわゆる「建設廃棄物」。
その処理責任は原則として 元請会社にあります。
理由は単純。
建設現場は多数の業者が出入りするため、
各業者に個別責任を負わせると管理が破綻するから。
だから一括して元請が管理しろ、という仕組み。
これは平成23年の法改正以降、明確化されています。
つまり、
「ゴミは買ってないから持って帰れ」
という発言は、法的理解が完全に止まっている状態。
問題は“誰が言わせたか”
今回さらに怖いのはここから。
話を聞くと、
- もともとは普通の産廃業者が処理していた
- 最近、個人で産廃処理の資格を取った人が出入りするようになった
- その人が元請社長に助言したらしい
- 「仕上げのゴミは買ってないから持って帰らせろ」と
という流れ。
つまり、
“産廃の資格を持つ人間が言わせている”
ここが一番怖い。
儲かるゴミだけ欲しい構図
建設廃棄物には、
- 金属くず
- 電線
- スクラップ
のようにリサイクル価値があるものと、
- 壁紙の端材
- ボード屑
- 糊付き残材
のようにリサイクル性が低いものがあります。
今回の話は明らかに後者。
つまり、
儲からないゴミは現場に残すな
内装業者に押し付けろ
という構図。
これ、相当危険です。
一番ヤバいのは誰が罰せられるか
仮にですよ?
持って帰らされた業者が、
山に不法投棄したとします。
罰せられるのは誰か?
もちろん捨てた人も処罰対象になります。
しかし一番重い責任を問われるのは――
元請け会社の社長です。
廃棄物処理法違反は、
- 5年以下の懲役
- または1000万円以下の罰金
決して軽い罪ではありません。
もっと怖いのは「無知」
元請け社長が知らなかった。
それ自体はある意味仕方ない。
現場を任せきりで法令を細かく理解していないケースは珍しくありません。
でも。
産廃の資格を取った人間がこれを知らない。
これは問題です。
ちょっと検索すれば出てくる内容。
資格を取る過程で触れるはずの知識。
それを理解せずに「助言」している。
結果どうなるか?
- 元請けは刑事リスク
- 現場は信用失墜
- 下請けは巻き込まれる
- 産廃業者は責任逃れ
誰も得しない。
むしろ、
“恩があるから言うことを聞く”
この人間関係が一番危ない。
建設業って、こういう「義理」と「昔から」が根強い業界です。
でも法令は義理では動きません。
建設業のゴミ問題は甘くない
近年、
- 不法投棄問題
- 災害廃棄物問題
- マニフェスト管理強化
環境問題はずっと取り上げられています。
それでも、
「ゴミは買ってない」
という発想がまだ出てくる。
建設業の闇はまだ残っています。
私のアドバイス
最後に相談者へこう伝えました。
「どうしても押し通してきたら、取引辞めた上で国交省と環境省に通報したら?」
建設業は国土交通省の所管。
廃棄物は環境省。
辞めてしまえば巻き込まれる必要はない。
元請けも産廃業者も、
“知らなかった”では済まなくなるだけ。
この感じだとマニフェストも出していないでしょうしね。
無知は罪になる時代
今回の件で一番怖いのは、
- 悪意
- 無知
- 利益優先
この3つが揃っていること。
建設業はまだまだ昭和的体質が残っています。
でも法律は令和です。
「ゴミは買ってない」
この一言で会社が飛ぶ時代。
続報が入ればまた書きます。
正直、どう転ぶのか見ものです。