最近、内装業の人と話すとみんな口をそろえて「見積りばかりさせられてるよね」という話題が出てきます。
建設業って、金額的に見れば決して安い買い物ではありません。
その分、ひとつの物件に対して必要になる見積りの量も、かなり膨大になります。
数年前であれば、元請けさんから
「基本単価で見積りしといたから」
この一言で終わる場面も珍しくありませんでした。
ですが、その状況はここ数年で一変しました。
各種資材の値上がりに加え、工賃も大きく変動。
これまでの取り決め単価では対応できないケースが増え、都度見積りが必要という物件が当たり前になっています。
施主の懐事情は、正直そこまで変わっていない
問題なのは、
資材や工賃は上がっているのに、施主側の予算が同じように増えているわけではない、という点です。
結果として起きているのが、
「比較して、より安価なものを探す」という動き。
1つの物件に対して
- A社の見積りに納得できなければB社にも
- 設計会社が絡めば、図面を少し変えて別会社に
こういった流れが、以前よりも明らかに増えています。
同じ施主・同じ場所、でも別ルートの見積り
実際、私自身も昨年末に
A社として見積りを出した物件と、同じ場所・同じ施主の案件が、
図面を変更した状態でB社から回ってきた、という経験がありました。
この状況を見る限り、
複数の図面を複数の業者に同時に流している
そう考えるのが自然だと思います。
見積りは「仕事」だけど、施工できるのは1件だけ
やっている作業自体は確かに「見積り」です。
ですが、何回こなしても、実際に施工できる物件は1件だけ。
以前にも書いたことがありますが、
見積り作業にかかる時間も人員も、決してタダではありません。
むしろ、
やればやるほどコストは積み上がっていく。
本来であれば、その分どこかで回収できなければ割に合わない作業です。
人手不足の原因は、現場だけじゃない
建設業では「人手不足」とよく言われますが、
実際にはこうした 繰り返し発生する見積り作業 に手を取られている部分も、かなり大きいと感じます。
加えて、全体の仕事量が減ってきている影響もあり、
以前は1~2社だった競合が、
今では5社、10社と群がるケースも珍しくありません。
受注率が落ちれば、見積りが通らないのは当然
これまで
受注率が50%~100%だったものが、
10%~20%になれば、そりゃ見積りも通りませんよね。
しかもこれは、内装業だけの問題ではありません。
他業種も含めた「建設全体の見積り構造」の話です。
クロス工事や床工事の金額なんて、
物件全体から見れば 1%~5%程度 の割合に過ぎません。
消える時は、一瞬で消える差額
元請け側の利益率や、
工事費の大部分を占める業者の動き次第で、
私たちが必死に積み上げた見積りの差額なんて、簡単に消えてしまいます。
労力をかけたかどうかなんて、
最終的な数字にはほとんど反映されない。
そんな場面も少なくありません。
見積り作業こそ、業界で共有できないものか
同じ見積りを、
複数の業者がそれぞれ一から打ち込んでいる現状を見ると、
「せめて見積りの打ち込み作業だけでも共有できる仕組みがあれば…」
と思わずにはいられません。
AIを使った業務改善も、実際に試みてきました。
ですが、なかなか目に見える成果までは至らず、現在は少し停滞中です。
AIの精度や使い方も、
毎週のように変わっていると言われる状況。
そろそろ、また改めて色々と試してみようかと思っています。
「見積りが通らない」の正体
最近、見積りが通らない。
でもそれは、単純に「高いから」だけではない。
見積りの作り方、流れ、数、競合の増え方
その全部が絡み合った結果なんだろうな、と感じています。