ふるさと納税について「納税可能額が金持ち優遇すぎるので、制度を変更する方向で検討」というニュースが出てきました。
そもそもふるさと納税の限度額は、家族構成や給与額によって大きく変わります。
ざっくりした目安でも、
- 年収300万円 → 約28,000円
- 年収500万円 → 約61,000円
- 年収1,000万円 → 約176,000円
となっており、収入が多いほど利用できる枠が大きくなっています。
これは「高所得者の方が余剰資金が多い」「翌年の住民税を先払いしている仕組み」など、理屈の上では一見筋が通っています。
また、東京など都市部では高所得者が多いため、地方へ税金を再分配するという意味でもメリットがあるように聞こえます。
■ でも実際は「返礼品競争」でしかない
現実には、
“返礼品の良い自治体にお金が集まるだけ”
という構図が明確になっています。
返礼品の上限が3割と決まっているため、
- 年収300万円の人 → 約1万円相当
- 年収1,000万円の人 → 約6万円相当
というように、高所得層ほど返礼品という形で得られるメリットが大きい。
つまり、
払える額が大きい人が、より多くの生活コストを返礼品で賄える仕組み
になっており、制度として貧富の差を広げる面があるのは事実です。
NISAなどは所得に関係なく限度額が同じですから、減税制度は本来もう少し平等であるべきという意見も根強いですよね。
■ 特産品のない地域に住む身としてはデメリットが大きい
私の住んでいるような 特産品が少ない田舎町 では、ふるさと納税による「流入」より「流出」の方が圧倒的に多くなります。
ふるさと納税は自治体間の競争を生みましたが、そもそも競争するための武器(返礼品)を持っていない地域にとっては非常に不利な制度です。
もちろん、寄付金の使い道を選べる “子育て支援” などに寄付すること自体は良い取り組みです。
とはいえ、正直なところ、
他地域の子育て支援に寄付するより、自分が住む地域の子育て支援に使われた方が良い
という思いがあります。
■ ではどうすれば公平性が高まるのか?
― マイナンバーを使えば「育った地域に税金を返す」制度も可能
ふるさと納税は、もともとマイナンバーカード普及のきっかけにもなった制度とも言われます。
もしマイナンバーが完全に浸透し、個人の「育った地域」がデータで把握できるようになれば、
- 住民税の半分は“現住所の自治体”
- もう半分を“育った自治体”に自動で分配
- 何度も転居した人は居住期間に応じて按分
といった制度だって可能になります。
これなら
本来の「ふるさとに税を返す」という意味を自然と実現でき、返礼品競争も不要。
特産品のない地域でも確実に税収が得られます。
現行のふるさと納税より、よほど健全な仕組みではないでしょうか。
■ 今後の制度はどう変わるのか?
政府が問題視しているのは、
- 高所得者がより得をする仕組み
- 返礼品競争が過熱し、本来の趣旨から逸脱
- 特産品の強い自治体に税が集中
といったポイントです。
これらを踏まえると、今後は
● 返礼品の縮小または段階制(所得に応じた上限調整)
● 寄付金の一部を原則として「現住地」へも還付
● 返礼品目的ではなく、社会保障・子育て支援・地方インフラに寄付が回る仕組みへの転換
● マイナンバーを活用した「育った地域への自動配分」という抜本改革
こうした方向へ舵を切る可能性があります。
■ 結局のところ…
制度が始まった頃は「地方創生の切り札」と言われたふるさと納税ですが、いまでは地域間格差を広げる要因にもなっています。
田舎に住む私としては、
特産品競争に勝てる自治体だけが潤う仕組みはもう限界
だと感じています。
公平性のある制度を目指すなら、
返礼品頼みではなく、“納税者が育った地域へ自然と税が返る仕組み”
こそ、本来の「ふるさと」の在り方に近いのではないでしょうか。
これからの制度改革がどう向かうのか、注目していきたいところです。