厚生労働相の諮問機関である「中央最低賃金審議会」なる組織で、今秋以降の最低賃金の全国平均を1118円とする決定をしたそうです。
これから各都道府県で、それぞれの地域で最終的な最低賃金が決定されますが、現在の賃金より60円/時以上は上がるという事ですね。
背景としては物価高に現役世代の最賃付近の人が苦しい状況が続いているので、賃金を上げることで苦しさを軽減させることが目的のようですが、実際はどうなんでしょう?
どの業種でも仕入れ・人件費などの積み上げを元に販売価格を決めます。最低賃金が上がるという事は仕入れに関わる人たちの人件費も上がりますし、自社の人件費も上がります。それぞれ上がったうえに更に会社の利益が同じ%で乗っかってきます。
という事はですよ。物価高騰に対応して最賃を上げたはずが、買い物価格も上がってしまうので結局また来年も同様に物価高騰対策として最低賃金をって事になっちゃうんでしょうね。
本来は最低賃金をこんなに上げたりしないでも、「最低賃金付近では労働者として人が集まらない」状況があるので、必然的に周囲より高い金額と上がっていくはずなんです。それを政治の方が主導して上げてしまうと、労働の内容に賃金が見合わないものまで全部上がってしまいます。
例えばパートの代表格「スーパーのレジ打ち」も私の学生時代の最低賃金って700円くらいだったので、レジ打ちもその辺りで募集されていました。無人レジも増えてきたので必要な人員は減ってきたとはいえ、売り場を見るとまだ2/3程度の人が居るようです。無人レジの導入コストや盗難リスクを考えると人間がやった方が良いようですがそれでも私の学生時代と比べると、人件費として掛かる金額は変わっていませんし、むしろ新システム導入の費用分がのしかかってきます。もちろんすべて有人でやってもその分増えるんですけどね。
結局その人件費でありシステム導入費が増えると、商品の販売価格にも反映されます。これまで特売で販売希望小売価格よりかなり安くなっていた商品に関しても、仕入れ元の人件費も上がるのでそこまで安く出来なくなっちゃいます。もっとも販売希望小売価格そのものが上がっちゃいますけどね。
さらに、最低賃金が上がって最底辺を底上げしたいと言っているのですが、最底辺よりちょっと上だった労働者が最底辺へと落ちて、下の割合が増えてしまうだけという懸念もあります。
1000円の人が1100円。2000円の人が2200円。みたいな形で上がれば、割合は同じになりますし適正な値上げ率になるでしょうけど、上の人を上げれば今度は貧富の格差がと言われますし、企業体力を考えると「1000円を1100円には法律上の問題で上げないといけないが、2000円の人は据え置き」となってしまうのではないでしょうか。結局このままの流れが続き、「1000円の人が上がりに上がって2000円になっても、2000円の人も2000円。つまり最低賃金が2人になっただけ」みたいな流れになる事でしょう。
さらにさらに。賃上げをきっかけに物価も上がったので「税収が過去最大」となっている状況にも、更なる賃上げで国の収入は増えてく一方。ですが人口減っているのに支出も増える一方。財政健全化とか言っていますけど不健全ですよね。
昨年「最低賃金に合わせて所得控除も上げるべき」ということで、123万までは所得控除上がりましたが、国民民主党は最低賃金を理由に178万の提案でした。昨年の案から更に最低賃金が上がるという事は185万くらいの所得控除にしてもらわないとって話になっちゃいますよね。
特別配偶者控除、勤労学生控除についても150万までの引き上げとなりましたが、最低賃金が60円以上上がるという事は、一月辺り6時間、年間72時間分くらいは労働時間を減らさないといけないという事になります。労働制約があることによって年末には時間調整しないといけないとなっていたものが、調整しなくても働ける状況になったものの、来年にはまた時間調整しなくてはいけない事になってきそうです。
結局労働者も足らないことになってしまいますね。
『対外国』を考えた時には最低賃金を上げて差を無くしていこうというのは妥当かもしれませんが、単純に「国内」という事だけを考えた時にはこのハイペースでの最賃値上げは良いこと無いんじゃないかな~って考えます。みなさんはどう考えますかね?