内装仕上げは大幅値上げ待ったナシ?

copper colored coin lot

昨日からの記事の続きになります。前日の「労働時間規制って建設業じゃやっぱりムズくね?」も合わせて見てもらえたら話が繋がりやすいかもしれません。

内装仕上げ工事をしている会社の最大手って聞いたことありますか?

聞かれてパッと出てこないと思います。私も出てきません。

材料を販売しているメーカーとしてサンゲツとか東リなどと社名が出てくるかもしれませんが、あくまでも材料を自社ブランドとして売っている商社となり、施工に関しては原則請け負っていません。

実際に施工しているのは大部分が「個人事業主」であったり、各都道府県にある「内装工事店に属している職人さん」となります。

職人さんごとに施工能力の差がテキメンに表れる「属人性の高い」職種となり、全国統一での施工能力の統一というものが難しく、全国展開が難しい業種だと感じています。一応全国的な装飾組合や壁装技能士のような資格を持って統一水準を作る方向性はありますが、事業者として全国展開というのはまだ見えていません。

全く同じの「土地環境・間取り・下地材・下地の状況・それまでの工事気候」というのは絶対にありえません。隣同士で全く同じ建物を同じ建設会社で立てていても、土地の地盤との関係も若干でも違えば、大工さんも違いますし、まったく同じタイミングで同じ工事をしているという訳でも無いですし、同じ大工さんが工事をしているとなると着工時期も違えば気温や湿度なども違います。もちろん材料の含水率も数%違います。建物の動きを抑える為に材木の含水率についても規定がありますけど柱径が90mmであれば0.9mm違うという事に。クロスの継ぎ目0.9mm変わる事なんてザラにありますけど直せって言われるレベルなんですよね。

っと書いていましたら、まだ本題に入っていない中ですが明日のテーマが決まりました。明日は「クロス屋さんは怒ってます」としましょう。

ちょっと話逸れていますが、戻していきましょう。

昨日の記事で大企業の方が新人を採用して教育する余裕があるという内容で書きましたが、内装仕上げ業の企業というのはほぼ中小零細企業ということになります。

昨日の労働時間規制を解消する為には粗利からのかなりの金額を新人育成に回さなければいけませんが、昨今の賃上げ問題も並行してありますので、なかなか新規採用という訳にもいきません。既存の従業員を蔑ろにすると稼ぎ手が辞めてしまうという事でさらに窮地に。しかし新しい血を入れていかない事にはただただ高齢化が進むだけで事業が継続していく事も難しいところ。

人気の無い建設業だけあって、新たに採用を目指すには他業種と同じだけの賃金水準では新規採用には中々繋がりませんので、一段と上げる必要がありそうですね。

そういった問題から値上げして対応していかないと先が無いという事になりますので値上げ要因のひとつ目。

内装仕上げに関してのクレーム(施工に関しての不具合で無いと判断できるもの)に関しての即応性を求められることも昔に比べて増えてきました。

不具合が起こると生活に支障をきたす業種。電気・水道・ガスなどの業種に関してはゆっくり対応していたら問題があるので、基本的には24時間対応できるような体制が出来ており、建築時の工賃や商品代にもそれに対応できる費用がしっかり含まれています。即応性がある商品なので仕方がない部分ですし、それが無いと当直を置いたりという設定が出来ません。

大工工事や上記以外の製品についても即応性が無い事と、クレームになっても「元々そういう製品ですからこれは対応できません」なんて言ってもらえる場合もあるそうです。フロアの床鳴りなんかも監督さんが対応してしまったり、大工さんとは別の補修屋さんが対応したりと待ってもらっての工事が可能だそうです。

一方内装仕上げ工事。クレームになったところで生活に支障がある内容はほぼありません。そういった事もあるので工事費用にアフターメンテナンス的な部分は価格転嫁されておりません。

ですが最近では即応性を求められる事に併せて、お客様がお休みの土日祝の工事を依頼される場合が多くあります。

平日は現在施工中の現場の工事・段取り・発注・手直しなど対応が必要で休んでる余裕がほぼありません。労働時間規制のおかげ?で発注業務が出来ない土日に休むことが中心になってしまいます。そこで休むとなると土日のアフター工事はどんどん山積みに。

こういった面でも土日に出勤してもらえるアフター工事担当者を採用する必要がありますが、1つ目の理由から採用というのは難しくなってしまいます。

採用を見送って、労働時間規制の影響をあまり受けない個人事業主に回ってもらう事も想定していますが、その費用はどこから捻出するか?という話になります。

6段落前に書いた大工工事の例などの補修屋さんに関しては工務店の方から費用が出るのに対して、内装仕上げ工事のアフター工事は職人さんを手配しても費用を出し渋る傾向が覿面にあります。

一言「費用を出すからやって」と言ってもらえれば段取りもしやすいですが、元請けの方も出費を抑えたいからだと思いますが、出しますとは言ってもらえない場合が殆どなんですよね。お客さんが傷つけた家財保険対応案件ならすぐに見積り出してって言うんですけど。

そういった理由からも「工事価格にアフター工事費用を上乗せしていかなければならない」という事情で値上げ要因としての2点目になります。

3点目として「お客さんの求める品質のレベルが上がり過ぎている」というのがあります。

工場で出荷される紙に糊付けして職人さんが施工する商品なので、継ぎ目は必ずあります。最近では継ぎ目が見えることが「ダメ」という風潮になっていますが、継ぎ目を無くすことは不可能な話です。

大工さんの施工した石膏ボードの継ぎ目やビスにパテ処理をしていますが、外からの光の当り方や照明器具の種類・角度・光度・彩度によって下地の不陸が出ることもありますがそれらもすべて内装の責任となり、クレームとなります。私たちからすると下地の継ぎ目も無くしてもらわないといけない事になりますし、ビス止めも角度は垂直に・出幅は0mmにしてもらわないといけないような問題ですが、もちろんこれも無理な話。

そういった事情から、元請けサイドがお客さんに対して「こういうものです」と言ってもらえる事は無いですし、「待ってください」ということも言ってもらえません。

断熱性能が上がったことにより、外気と内気の遮断というのはほとんど無くなりました。ではその間にある空気はどうなるでしょう?コンセントからの空気の漏れの話がテレビなどで話題になる事がありますが、そこにある空気の温度が上がれば空気は膨張し圧力の逃げ場を探して動きます。コンセントや石膏ボードの継ぎ目からも逃げれるように空気が動きますし、外が寒い時に中で暖房をつけていると今度は内気が外壁との間の空間に逃げようとします。

コーキングに関しては下地の材木の動き・外壁と内壁の内部に流れる空気の影響での切れ・コーキング自体の収縮もありますので基本的には切れるものと思っていただけたらいいのですが、工務店サイドから「こういうものですので」と言ってもらえる事は無いんですよね。

『施工能力を上げていく』という事だけでは対応できない事態が多くなっている上に、そのアフター部分に対応する人材が無い費用も無いという事を考えると値上げしてそこに対応できる人を確保していく事が大事になりそうです。

最後に一番重要な部分が、職人さんの現場作業も監督さんが管理できない時間【残業部分や休日出勤部分】の労働時間が減る事に伴う単純な工賃の値上げという事になります。

これまで週6日~7日稼働でギリギリ間に合わせてきた工期。1日辺りも8時間~12時間と長時間労働となっていましたが、個人事業主ということで法律対象となってきませんでした。これからも個人事業主自体は法律対象では無いですが、現場監督がその余分な時間を管理できないから現場入場禁止となる方向。

そうなると20%以上の労働時間の削減となります。工期は変わりません。余分に人を入れる必要がありますが、これまで書いてきた通り労働人口は足りませんし、20%削減された職人さんは「収入減」となるので工賃アップを要望されます。上げないと単純な収入減で終わっちゃうのでやってられないと廃業していきます。となると上げる必要が絶対的にあります。

内装仕上げ工事を請け負うとなるとそこら辺も踏まえての金額となってしまうので必然的に工事費用アップとなっちゃいますよね。

ここまでで全て書けたとは思いませんが、大きくこういった事象が積み重なって内装仕上げ工事に関わる工事単価を上げざるを得ない状況が目先に迫っています。

気が向いたら書きますが、店舗工事のように「誰かがそこに住むわけでは無い・自身の所有物ではない人が管理する物件・第三者が見て悪いと思っても建物に対しては購買力に影響しないもの」というのはこれまで通りの見積りでも構わないと思います。

店舗工事で継ぎ目が分かっても下地が割れていてもクレームとして上がる事はほとんどありませんからね。

受益者が当人である物件に関してこれから大幅値上げしていく事となります。

元請けはもちろんのこと購入者もそういった内容を踏まえて「今買うか?後で買うか?買わずに賃貸とするか?」といった事も考えていった方が良さそうですね。

投稿者: クロス

約20年のインテリア(内装工事)の実績から、住宅購入者のお悩み解決できたらいいなと思いサイトを立ち上げました。 これから住宅を購入検討されてる方へのアドバイスや、賃貸物件でのお役立ち情報も出せたらいいなと思っています。最近プライベートな記事も多いですが

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