先日の記事で、「誰でも使いやすいアプリ製作はヤメタ!理解できて使いたい人だけ使えるものにしよう!」という方針に変更したお話をしました。
それから昨日・今日と、今後のアプリ開発について色々と考えていました。
これまで作ってきたものをどう改良するか、どんな機能を追加するか、どうすればもっと簡単に使えるようになるのか。
そんなことを考えながら、開発の構成を変更したり、別の方法を試してみたりしていたんですけど・・・。
結論から言えば、アプリ開発を断念することにしました。
いや、正確にはちょっと違うんですけどね。
「誰かに使ってもらうための専用アプリを開発すること」を断念したというのが正しい表現でしょうか。
では、どうしてそんな結論になったのか。
そもそも作る必要があるの?
これまで私が目指していたのは、「誰でも使える」「操作が簡単」「専用アプリなどを入れなくてもよい」というものでした。
例えば、現在開発を進めていた音声認識アプリ。
現場で採寸した寸法を音声で記録して、それをExcelの工事伝票に自動的に反映させるという仕組みです。
現場でメモを取って、事務所に戻ってから数量を計算して、伝票に入力する。
こういった繰り返し作業を少しでも減らしたいというのが開発の目的でした。
でも、ここでふと思ったんですよね。
「それ、ChatGPTで出来るんじゃない?」
実際、ChatGPTなどのAIサービスを使えば、音声で情報を伝えて整理したり、Excelに入力するためのデータを作成したりすることは既に可能です。
もちろん、音声認識の精度やExcelへの反映方法など、実務で使うには確認や調整が必要な部分もあります。
それでも、わざわざ専用アプリを一から開発しなくても、既存のサービスを組み合わせれば目的を達成できる可能性があるんですよね。
だったら、社内の人間にも「ChatGPTを入れて、工事伝票のExcelと、やってほしいことを書いたプロンプトを使って会話すればいいよ」と説明するだけで済むんじゃないかと。
使いこなせるかどうかは、それぞれの問題です。
これまでの私は、そこまで含めて誰でも簡単に使えるものを作ろうとしていました。
でも、先日の記事でその考え方をやめたんです。
となれば・・・。
「もう出来ている部分を、わざわざ自分で作る必要ないじゃん!」
という結論になってしまいました。
開発している間に時代が変わってしまう
もう一つ、大きな理由があります。
それが、AIを取り巻く環境の変化の速さです。
私がアプリ開発を始めた頃には、こんなことが出来たら便利だろうな~と思っていた機能がありました。
それを実現するために、プログラムの構成を考えたり、エラーを修正したり、何度もテストを繰り返したり。
ようやく形になってきたと思ったら、AIサービスの方にも新しい機能が追加されている。
「あれ?これってもう普通に出来るようになってる?」
なんてことも考えられるわけです。
もちろん、既存のAIサービスでは対応できない部分もありますし、自分専用に作った方が使いやすいものもあります。
ただ、問題は開発に掛かる時間なんですよね。
私の場合、本業の仕事をしながら、帰宅後の時間を使って開発しています。
専門の開発会社のように、何人もの技術者が分担して作業しているわけではありません。
一つの機能を完成させるまでに何日も掛かることがあります。
その間にもAIは進化している。
下手をすると、何カ月も掛けて作った機能が、完成する頃には既存のサービスで簡単に使えるようになっているかもしれません。
そう考えると、なかなか悩ましいものがあります。
自分が開発するスピードより、世の中の技術が進化するスピードの方が速い。
これでは、後発で新しいサービスを提供しようとしても、なかなか勝負にならないでしょう。
セキュリティという問題もある
そして、最近気になっているのがセキュリティの問題です。
ここ最近、企業へのサイバー攻撃や個人情報の流出など、様々なニュースが報じられています。
私自身も、先日ブログのサーバーに関する問題が発生したことで、セキュリティについて改めて考える機会がありました。
自分だけで使うアプリであれば、扱う情報や利用環境をある程度限定できます。
もちろん、それでも情報管理には気を付けなければいけません。
でも、これを他人に提供するとなれば話は別です。
例えば、アプリを有料で提供することになった場合。
利用者の情報をどう管理するのか。
入力されたデータをどこに保存するのか。
万が一、情報が流出した場合にはどう対応するのか。
不具合が発生した時には、誰が責任を持って修正するのか。
単に「便利なアプリが出来ました!」というだけでは済まなくなってきます。
特に、私が作ろうとしているものは仕事で使用するツールです。
現場名や工事内容、場合によっては取引先に関する情報なども扱う可能性があります。
そういった情報を安全に管理できる仕組みまで構築して、継続的に維持していく。
今の私にそこまで出来るのか?
と考えると、正直なところ自信はありません。
もちろん、既存のAIサービスを利用すればセキュリティの問題がすべて解決するわけでもありません。
会社の情報を入力する以上、利用するサービスの規約やデータの取り扱いを確認する必要はあります。
それでも、自分でサービスを公開して利用者の情報を預かることとは、負うべき責任の範囲が違ってきます。
副収入を得るために始めたことが、かえって大きなリスクを抱える原因になってしまっては本末転倒です。
収益化という目的も一旦やめる
これまで、開発しているアプリが実用化できれば、将来的には他の会社にも提供できるんじゃないかと考えていました。
無料で公開して利用者を増やしたり、一部の機能を有料化したり。
うまくいけば、副収入に繋がるかもしれません。
そんな期待もあったんですよね。
でも、今から後発で参入して、どれだけの収益が見込めるのか。
開発に掛けた時間や費用を回収できるのか。
さらに、公開後の維持管理やセキュリティ対策まで考えると、決して簡単な話ではありません。
そもそも、私の本業はアプリ開発ではありません。
建設業の仕事を効率化したいという目的から始まった取り組みです。
それがいつの間にか、アプリを完成させること自体が目的になりつつあったのかもしれません。
だったら、一旦原点に戻ればいいんですよね。
「自分の仕事が楽になれば、それでいいじゃん!」
そう考えると、随分と気持ちが楽になりました。
これまでの開発が無駄だったわけではない
ただ、ここまで色々と取り組んできたことを後悔しているわけではありません。
むしろ、得られたものは沢山あります。
Excelの計算式やマクロだけでは実現しにくかったことが、別の仕組みを使えば実現できると分かりました。
アプリがどのような構成で動いているのか。
データを保存したり、別のソフトと連携させたりするには、どのような仕組みが必要なのか。
セキュリティや運用管理についても、以前より考えるようになりました。
何より、AIを使ってどこまで出来るのかという感覚が、随分と変わったと思います。
以前だったら「こんなものがあったら便利なのにな~」と思うだけだったものが、今では「これなら作れそう」「これは既存のサービスで対応できそう」と、ある程度判断できるようになりました。
これは結構大きな収穫だったと思っています。
それに、これまで作ってきたツールの中には、既に実務で役立っているものもあります。
それらを捨てる必要もありません。
開発をやめることと、これまで作ったものを使わなくなることは別の話ですからね。
これからは自分に必要なものだけ作る
ということで、今後の開発方針を変更することにしました。
これからは「自分自身の仕事に役立つものだけ」を基本にしていこうと思います。
既存のサービスで対応できるものは、無理に自分で作らない。
自分で作った方が便利なものだけ作る。
誰でも使いやすいものにする必要もなければ、他人に販売することを前提に考える必要もありません。
自分が理解できて、自分が使いやすければそれで十分です。
もちろん、社内で共有した方が便利なものは、これまで通り共有していくつもりです。
そして、もし今後しっかりした仕組みが完成して、他の会社でも役立ちそうだと思えるものが出来たら・・・。
その時にはアプリを販売するのではなく、知り合いの会社の業務改善を手伝うような形でもいいのかなと思っています。
アプリそのものを売るのではなく、業務の流れを見直したり、既存のサービスを組み合わせたり、必要な部分だけ仕組みを作ったり。
いわば、業務改善のアドバイザー的な立場ですね。
こちらの方が、これまで建設業で培ってきた経験も活かせるような気がします。
もっとも、それも今すぐ始めるという話ではありません。
まずは自分自身の仕事を効率化することが先です。
それにしても・・・。
ほんの数カ月前には「こんなアプリを作れたら面白いだろうな~」と考えていたのに、今では「そもそも作る必要があるのか?」と考えるようになってしまいました。
新しいことに挑戦しようとしても、時代の変化が速すぎて、追い掛けるだけでも大変です。
でも、考え方を変えれば、無理に追い掛ける必要もないのかもしれません。
便利なものが次々と登場するのであれば、それを上手に使えばいいだけですからね。
「作ること」にこだわるより、「使って何が出来るか」を考える。
これからは、そんな方向で取り組んでいこうと思います。
・・・とはいえ、また面白そうなアイデアを思い付いたら、懲りずに何か作り始めているかもしれませんけどね(笑)