これまでブログで何度も書いてきたじゃないですか。私が取り組んでいる業務改善のお話。
日々の仕事の中で「ここをもっと楽にできないかな?」「こんな仕組みがあったら便利なのに」と考えながら、AIを活用していろいろなシステムを作ってきました。
最近では、自分が作っているもの以外にも「どんな仕組みがあったら便利なのか?」という情報収集も兼ねて、社外の人たちと業務改善について話をする機会が増えています。
すると、ちょっと意外なことに気が付きました。
「あれ?みんな結構いろんなことやってるじゃん!」
私が知らなかっただけで、どこの会社もそれぞれに業務改善へ取り組んでいたんですよね。
もちろん、その規模には大きな差があります。
ちょっとしたExcelの改善から、専用のシステムを導入している会社、さらにはかなりの金額をかけて独自の仕組みを構築している会社まで。
取り組んでいる内容も、かけている費用も本当にさまざまです。
でも、いろいろな話を聞いているうちに、もう一つ気が付いたことがあります。
「かけた金額と業務改善の効果って、必ずしも比例してないんだな~」
ということです。
お金をかけたからといって便利になるわけじゃない
当然ですが、システム開発を専門の会社に依頼すれば、それなりの費用がかかります。
規模によっては数百万円、場合によってはそれ以上の金額になることもあるでしょう。
それだけのお金をかけるんだから、さぞかし便利なものが出来上がるんだろうと思いますよね。
ところが、実際に話を聞いてみると、どうもそういうわけでもないようです。
かなりの金額をかけて導入したのに、思っていたほど業務が楽になっていない。
これまで出来ていたことが、新しいシステムでは出来なくなってしまった。
ちょっとした変更をしたいだけなのに、その都度追加費用が発生する。
そんな話も出てくるんですよね。
もちろん、導入したことで便利になった部分もあるのでしょう。
でも、せっかく大きなお金をかけたのに、使い勝手が悪くて以前のやり方を一部残していたり、システムに合わせるために余計な作業が増えてしまったり。
これでは何のために導入したのか分からなくなってしまいます。
特に建設業の場合、会社によって仕事の進め方が結構違います。
同じ内装仕上げ工事を扱っている会社でも、見積りの方法、職人さんへの発注方法、現場管理の仕方、請求処理など、それぞれに独自のやり方があります。
さらに、現場ごとに条件が違うことも珍しくありません。
そういった細かい部分まで対応できなければ、いくら立派なシステムでも使いにくいものになってしまうんですよね。
システムを作る人と使う人の認識の違い
こういった話を聞いていると、やっぱりシステムを構築する段階で、実際の業務を理解している人間がどれだけ関わっているかが重要なんだと思います。
システム開発の専門家は、当然ながらプログラムを作るプロです。
でも、その会社の業務を隅々まで理解しているわけではありません。
例えば、見積書を作る仕組みを依頼したとします。
見積書を作成して、保存して、印刷できる。
これだけなら、それほど複雑な話ではないのかもしれません。
でも、実際に使う人間からすると、それだけでは足りないんですよね。
過去の見積りを流用したい。
材料の単価が変わったら一括で変更したい。
同じ品番をまとめて集計したい。
現場によって数量の拾い方を変えたい。
発注書や請求書にもデータを引き継ぎたい。
さらに言えば、ボタンの配置一つでも使いやすさが変わります。
作業の流れに沿った順番で入力できるかどうか。
何度も同じ画面を行ったり来たりしなくて済むかどうか。
一日に何十回も行う操作なら、クリック一回減らせるだけでも結構な違いになります。
でも、こういった細かい部分って、実際にその仕事をしている人間じゃないとなかなか気が付かないんですよね。
そして、最初の打ち合わせですべてを伝えられるかというと、それも難しい。
実際に動くものを触ってみて、初めて「あっ、ここはこうした方がいいな」と気が付くことも多いんです。
つまり、システムを作る技術だけではなく、実際の業務を理解している人間が開発に深く関わることが必要なんだと思います。
3か月で完成させるより、1年かけて作り込む方がいい?
とはいっても、会社の中で誰か一人をシステム開発に付きっきりにするなんて、なかなか出来ることではありません。
通常業務だってありますし、人手不足の建設業ならなおさらです。
そこで、最近ちょっと思うことがあります。
例えば、専門業者に依頼して3か月で完成させる予定のシステムがあったとします。
それを無理に短期間で完成させるのではなく、1年くらいかけてじっくり作り込んでいく方法はどうなんでしょう?
一人の担当者にすべてを任せるのではなく、各部署の担当者が少しずつ時間を割いて開発に関わる。
仮に4人がそれぞれ1時間ずつ時間を使えば、一日4時間分の作業時間を確保できます。
もちろん、それだけの時間を使うこと自体にも人件費はかかりますし、開発期間が長くなれば管理の負担も増えるでしょう。
でも、その時間を使って実際の業務を確認しながら、必要な機能を少しずつ追加していく。
作っては使い、使っては修正する。
この繰り返しをじっくり行った方が、結果的に使いやすいシステムになるんじゃないでしょうか?
短期間で完成させることが重要な場合もありますし、最初から完成度の高いシステムが必要な場合もあります。
でも、急いで完成させた結果、後から何度も追加費用を払って修正するくらいなら、最初から時間をかけて作り込む方がコストパフォーマンスは良いのかもしれません。
大事なのは完成までの早さではなく、完成したものがどれだけ仕事を楽にしてくれるか。
私はそう思うんですよね。
私が作っているものが使いやすい理由
なんてったって、私自身が時間をかけて個人で作っているものが、私にとっては「一番使いやすいもの」として出来上がっているんです。
もちろん、プログラムの完成度や技術的な部分でいえば、専門家が作ったものには到底及ばない部分もあるでしょう。
でも、使い勝手という部分では自信があります。
だって、実際に使う本人が作っているんですから。
どの順番で作業するのが楽なのか。
どこにボタンがあれば押しやすいのか。
どんな情報を自動で表示してほしいのか。
何を入力するのが面倒なのか。
こういったことを全部把握しています。
というか、把握しているも何も、毎日自分がやっている仕事ですからね(笑)
例えば、これまで私が取り組んできた工事伝票の改善。
品番を入力したらメーカーや必要な情報が自動で表示されるようにしたり、何度も調べたり転記したりしていた作業を減らしたり。
一つ一つは小さな改善です。
でも、その小さな改善を積み重ねることで、日々の作業は確実に楽になっています。
さらに、実際に使ってみて不便な部分が見つかれば、また修正する。
「ここにこんな機能があったらいいな」と思えば、追加できないか考えてみる。
こういったことを繰り返しているから、自分の仕事に合った仕組みになっていくんですよね。
もちろん、私が使いやすいものが、そのまま他の人にも使いやすいとは限りません。
だからこそ、会社全体で使う仕組みを作るなら、他の人の意見も取り入れる必要があります。
実際、社内で使い始めてから初めて出てきた要望もありますしね。
一人で作る場合と、会社全体で使う場合では、そこが大きく違うところなんだと思います。
トップダウンで導入するだけではもったいない
会社が新しいシステムを導入する時、経営者や管理職が中心になって話を進めることも多いでしょう。
もちろん、会社としての方針や予算を決めるのは経営側の仕事です。
でも、そこで「こんな便利なシステムを導入したから、明日からこれを使ってね」と言われても、現場で使う人間からすると困ることもあるんですよね。
「今まで出来ていたことが出来ないんだけど?」
「この入力、前より面倒になってない?」
「結局、別のExcelも使わないと仕事が終わらないじゃん」
なんてことになったら、せっかくのお金がもったいない。
そうならないためにも、導入前に実際に使う人たちで話し合うことが必要なんだと思います。
今の仕事で何が面倒なのか。
どんな機能があれば楽になるのか。
自分たちで改善できる部分はどこなのか。
専門業者に任せなければ出来ない部分はどこなのか。
そして、どこにお金をかけて、どこにはかけないのか。
こういったことをしっかり整理してから取り組むだけでも、無駄な費用はかなり減らせるんじゃないでしょうか。
何でも自分たちで作ればいいという話でもありません。
専門的な技術が必要な部分や、セキュリティなどの重要な部分には、当然お金をかける必要があります。
逆に、ちょっとしたExcelの改善だけで解決できることに、何百万円もかける必要はありません。
お金をかけるべきところを見極めて、実際に使う人間の声をしっかり反映させる。
これが業務改善で一番大事なことなんじゃないかな~と思います。
建設業のDXをもっと身近なものに
今回、いろいろな会社の話を聞いてみて、私が知らなかっただけで、みんなそれぞれに工夫しながら業務改善に取り組んでいることが分かりました。
これはちょっと嬉しい発見でしたね。
建設業は他の業種に比べてデジタル化が遅れているなんて言われることもありますが、決して何もしていないわけではないんです。
ただ、その取り組みが必ずしも大きな成果につながっているとは限らない。
だからこそ、これからは「どんなシステムを導入したか」ではなく、「導入したことでどれだけ仕事が楽になったか」という部分をもっと大切にしていきたいですね。
高額なシステムを導入することだけがDXではありません。
毎日10分かかっていた作業が5分になる。
同じ内容を何度も入力しなくて済む。
確認や転記のミスが減る。
そんな小さな改善だって、立派な業務改善です。
それぞれの会社が、自分たちの仕事に合った方法で少しずつ改善を積み重ねていく。
そうすることで、建設業全体の生産性も上がっていくんじゃないでしょうか。
そして、そこで生まれた時間や利益が、働く人たちの負担軽減や賃金の向上につながっていけば理想的ですよね。
せっかく業務改善に取り組むんですから、システムを作ること自体が目的になってしまってはもったいない。
「お金をかけて立派なものを作る」よりも、「無駄を減らして本当に使いやすいものを作る」。
そんな考え方がもっと広がって、建設業のDXが無駄なく進んでいけばいいな~と思います。