都市部には楽しいことがたくさんある。
人が多いから仕事も多いし、賃金も高い。学校も都市部に集中しているから、進学をきっかけに地元を離れて、そのまま都市部で就職する。新しい店やサービスも、まずは都会から始まる。
それに対して田舎はどうでしょう。
楽しみが少ない。アーティストのライブなんて滅多にないし、大きなイベントも少ない。仕事の選択肢も少なく、賃金も安い。進学できる学校も限られているから、若い人は一度地元を離れなければならない。
「だから若者は田舎から出ていく」
これまで私は、そんな単純な話だと思っていました。
もちろん、それも大きな理由なんでしょう。
でも最近、自分自身が色々なことを始めてみて、
「あれ?本当に大きな違いって、そこじゃなかったんじゃない?」
と思い始めました。
もしかすると都市部と田舎の大きな違いって、
「競争」と「危機感」
なんじゃないでしょうか。
情報格差なんて、もうそんなに無いと思っていた
昔から都市部と地方の違いとして「情報格差」もよく言われます。
ただ、今の時代って住んでいる場所による情報そのものの差は、かなり小さくなっていますよね。
インターネットがあります。SNSがあります。YouTubeがあります。そして今ではAIまであります。
田舎に住んでいようが、東京のど真ん中に住んでいようが、ネットに流れている情報を見ること自体はできます。
もちろん世の中に出てこないトップレベルの情報や、業界内だけで飛び交うオフレコ的な話はあるでしょう。
そういう情報なら、企業や人材が集中する都市部の方が圧倒的に有利だと思います。
でも、それだけでは説明できません。
別にトップレベルの人材だけが東京や大阪へ出ていくわけではありません。
ごく普通の若い人たちも、どんどん地方を離れていきます。
だったら、地方に住む普通の人と都市部に住む普通の人の間にも、何か違いがあるんじゃないか?
最近それが少し分かった気がします。
情報は同じでも「周りの反応」が違う
例えば新しい技術のニュースを見たとします。
田舎で生活していると、
「へぇ~、そんなことができるようになったんだ」
で終わってしまうことが結構あります。
周りの人と話しても、
「すごいね~」
「未来はそうなっていくんだろうね~」
「そのうち普及するんじゃない?」
そんな感じ。
みんながそんな反応なら、自分も自然とそうなります。
「まぁ、まだいいか」
「もう少し普及してからでいいか」
「安全そうになってから使えばいいか」
ところが都市部なら、同じ情報を見た時に、
「それ知ってるよ」
「もう使ってるよ」
「それ使ってこんなこと始めたよ」
「え?まだやってないの?」
なんて人に出会う確率が、地方より高いんじゃないでしょうか。
ネットから入ってくる情報そのものは同じでも、その情報に対する周囲の温度が違う。
ここって結構大きいんじゃないかと思うんです。
私自身、情報だけならかなり昔から知っていた
振り返ってみると、私自身がまさにそうでした。
Windows95の時代からパソコンには触れていました。
ビットコインなんて、10ビットコインでピザ2枚を買ったという話がニュースになるような頃から存在自体は知っていました。
アベノミクスなんて言葉が出てきた頃には、「これから円安になって株価も上がっていくんだろうな」と考えていました。
AIについても、今みたいに世間一般で大騒ぎになるよりずっと前から、
「これ、とんでもないことになるんじゃない?」
とは思っていました。
つまり情報が無かったわけではありません。
情報だけなら入ってきていました。
それなのに、ほとんど何もしていません。
「面白そうだね~」
「将来そうなるんだろうね~」
「もう少し様子を見てからでいいかな~」
そんな感じ。
もちろん最終的に判断したのは自分なので、田舎に住んでいることを言い訳にするつもりはありません。
ただ、周りも同じようにのんびり構えている環境にずっといると、自分一人だけが猛烈に焦る理由ってなかなか生まれないんですよね。
AIを使い始めて、ようやく焦り始めた
そして現在。
やっとAIの使い方が少しずつ分かってきました。
すると、これまで頭の中で、
「こんなのできたら便利なんだけどな~」
と思っていたものが、
「あっ!これ作れるじゃん!」
に変わりました。
さらに、
「これもできるんじゃない?」
「こっちと組み合わせたら面白くない?」
「上手くいったらマネタイズまで考えられるんじゃない?」
なんてところまで考えるようになりました。
そこで実際に作り始めています。
ところが、ですよ。
色々調べてみると、
「似たようなサービス、もうあるじゃん……」
となるわけです。
しかも、ただ存在しているだけではありません。
既にサービスとして完成していて、利用者を集めて、月額課金の仕組みまで作って、サブスクで収益を得られる環境まで構築している。
こっちは、
「こんなのできたら面白そう!」
と言い始めたところなのに、向こうはもう商売として回している。
完全に周回遅れです。
隣に一人でも「もう始めたよ」という人がいたら?
ここで最近よく思うんです。
もし数年前の私の周りに、
「AIすごいらしいね~」
ではなく、
「俺、もうAI使ってこんなの作ってるよ」
という人が一人でもいたらどうだったんだろう?
「ビットコインって面白そうだね~」
ではなく、
「とりあえず少し買ってみたよ」
という人がいたら?
「これからネットで色んな商売ができそうだね」
ではなく、
「もう始めたよ。今月これくらい売れた」
という人がいたら?
たぶん私も、
「えっ!?ちょっと待って!俺もやらんとマズくない?」
となっていたと思うんです。
人間って不思議なもので、遠くにいる知らない誰かが成功していても、
「すごい人もいるもんだ」
くらいで終わります。
でも、自分と大して変わらないと思っていた身近な人が一歩先に行くと、急に焦ります。
「自分もやらないと置いていかれる」
という危機感が生まれます。
これが、地方では生まれにくいのかもしれません。
都市部の強さは「先に動かないと負ける」という空気なのかも
都会には人がたくさんいます。
当然、色々なことを考えている人もたくさんいます。
新しいことを始める人もいる。失敗する人もいる。成功する人もいる。
そして、それを間近で見る機会も多い。
すると、
「そのうちやろう」
なんて悠長なことを言っていたら、隣の誰かが先に始めてしまいます。
さらに別の誰かが改善する。
また別の誰かが商売にする。
気が付けば市場を取られている。
だから、
「思いついたなら早く動かないと負ける」
という感覚が自然と身につくのかもしれません。
それに対して、変化の少ない地方では、
「できたらいいね~」
で終わっても、翌日も周りの景色はほとんど変わりません。
1カ月経っても変わらない。
1年経っても、それほど変わっていないように見える。
でもネットの向こうでは、とんでもない速度で世界が進んでいる。
気が付いた時には1周どころか、2周、3周遅れている。
私自身が今、まさにそれを実感しています。
だから若い人は都会へ行くのかもしれない
地方から若い人が出ていく理由として、仕事、給料、学校、娯楽など色々なことが言われます。
もちろん全部正しいと思います。
でも、自分をもっと成長させたい人にとっては、
「周りに自分より先を走っている人がいる環境」
そのものにも大きな価値があるのかもしれません。
競争があるから焦る。
焦るから調べる。
調べるから動く。
動くから失敗する。
失敗するから改善する。
そして、また次に進む。
そう考えると、自分を高みに持っていこうと思った若い人が都市部を目指すのは、ある意味では必然なのかもしれません。
都会に行けば成功するわけではありません。
田舎にいたら成功できないわけでもありません。
でも、「周りが動いているから自分も動かなければならない」という環境の力は、私がこれまで思っていた以上に大きいのかもしれません。
じゃあ、田舎にいる私はどうする?
残念ながら、私はそれに気付くのがかなり遅かったようです。
現在の感覚としては、完全に周回遅れ。
今から何か始めようと思って調べれば、似たようなものが既にある。
後から参戦するなら、
「既存のものより高性能」
「既存のものより便利」
「既存のものより安い」
「既存のものにはない特徴がある」
そんな何かが必要になります。
先に始めた人より明らかに不利です。
でも、今さら、
「もっと早くやっておけばよかったな~」
と言っていても仕方ありません。
これまでの私は、情報を得ても、
「できたらいいね~」
で止まっていました。
だったらこれからは、
「できそうなら、とりあえずやってみる」
に変えていけばいい。
今いる場所を変えなくても、周りの環境を言い訳にせず、自分で危機感を持って動けばいい。
むしろAIまで使えるようになった今なら、地方に住んでいることによるハンデの一部は、昔よりずっと小さくなっているはずです。
2周遅れなのか3周遅れなのか分かりません。
もしかしたら、もっと遅れているのかもしれません。
でも、周回遅れなら走るしかありません。
中年になった今。ようやく地方から若い人が離れていく理由が少し分かった……気がします。
そして、それに気付いた田舎者がこれからどこまで追いつけるのか。
せっかくなので、自分自身で試してみようと思います。
そしてこんな私でも「すげ~!」って言ってもらえる田舎で、気分を上げてもらって頑張っていこうと思います。