私、子供が居ないので知りませんでしたが、来年1月から「こどもNISA」とも呼ばれている仕組みが始まるそうですね。
まぁ子供どころか嫁もいませんけど・・・。
正確には、現在18歳以上となっているNISAのつみたて投資枠が0歳~17歳にも広げられるというもの。
年間投資枠は60万円、非課税保有限度額は600万円となっています。
名目上は「子供の将来に向けた資産形成」や「大学進学など、成人後に必要となるお金への備え」といった目的なのですが、制度を見ていてどうしても感じてしまうことがあります。
「これ、結局お金のある家庭ほど有利なんじゃないの?」
ということ。
もちろん制度そのものが悪いとは思いません。
子供が小さいうちから少しずつ積み立てて、長期間運用する。
18歳になる頃には大学進学などでまとまったお金が必要になる可能性もあります。
そこに向けて準備する方法が増えること自体は良いことでしょう。
でも、そもそものスタート地点が違うんですよね。
現在でも、子供の将来の教育資金を貯める余裕がある家庭は普通に貯蓄しています。
そういう家庭なら大学進学などでも、奨学金を借りなくても対応できる可能性は高いでしょう。
一方で、現在の生活だけで精一杯という家庭もあります。
将来の学費を十分に貯める余裕がなく、進学時には奨学金を利用し、本人もアルバイトをしながら学校へ通う。
既にこの時点で差があります。
「親ガチャ」なんて言葉が出てきたのも、本人にはどうすることも出来ない家庭環境によって、スタート地点に差があるという話だったはずです。
そこへさらに「投資によって増えた利益が非課税」という仕組みが加わります。
余裕のある家庭なら、子供が生まれてから毎年60万円を投資することだって出来るでしょう。
年間60万円というと月5万円。
これを「子供の将来のために」と毎月出せる家庭が、果たしてどのくらいあるんでしょうね?
しかも、子供のNISAにまでお金を回せる家庭なら、親自身のNISAもかなり利用している可能性があります。
現在の大人のNISAには1人1,800万円の非課税保有限度額があります。
夫婦ならそれぞれ利用できます。
さらに子供にも600万円。
家族全体で考えれば、かなり大きな金額を非課税で運用できるようになります。
一方、お金に余裕のない家庭では、そもそも親自身のNISAすら十分に使えていないでしょう。
NISA口座自体を持っていない人だっているはずです。
同じ制度が用意されていても、
「枠があること」と「その枠を使えること」は全く別問題なんですよね。
贈与についても、暦年課税なら年間110万円の基礎控除があります。
また、親など扶養義務者から通常必要と認められる学費などを、その都度直接教育費として出してもらう場合には贈与税がかからない仕組みもあります。
そこへ子供自身のNISAまで加わる。
もちろん制度としては、将来への備えを後押しする良い仕組みなのでしょう。
ただ、利用できる家庭ほど選択肢が増えていくという側面はどうしてもあります。
そして、もう一つ気になることがあります。
「子供の将来のためだから」と、無理してまでこどもNISAを埋める必要があるのか?
ということです。
最近は「NISA貧乏」なんて言葉もあります。
将来のためにNISAへお金を入れすぎて、現在使えるお金が少なくなってしまう状態ですね。
独り身の私ですらNISA枠なんて全然埋め切れていません。
もちろん私の場合、NISA貧乏になるほど貯めるつもりが無いというのもあります。
やりたいこと。
欲しいもの。
行きたいところ。
こういうものをあまり制限していないので、単純に使っちゃう量が多すぎて貯まっていないという話でもありますけどね・・・。
でも、子供の場合はちょっと違うと思うんです。
小学生の時にしか出来ない経験。
中学生の時だから楽しいこと。
家族で旅行した記憶。
友達と遊びに行った経験。
興味を持ったスポーツや習い事。
こういうものって、
「今我慢して、その分をNISAに入れておけば将来もっと増えるよ」
では取り戻せないんですよね。
10歳の時の10万円と、30歳になった時の20万円。
お金だけ見れば20万円の方が多い。
でも、10歳の時にしか出来なかった経験に使う10万円の価値まで、単純に金額だけで比較できるのかな?と思います。
もちろん将来の学費を準備することも大切です。
でも、そのために現在の経験を削りすぎるのも違う気がします。
となると、一番強いのは結局、
今の経験にも十分なお金を使える。
将来のお金もしっかり準備できる。
さらに余ったお金をNISAで長期間運用できる。
そんな家庭なんですよね。
現在も楽しめて、未来にも備えられて、そのお金をさらに増やせる可能性まで取れる。
そりゃ強い。
こう考えると「こどもNISAが格差を作る」というより、
元々存在している経済格差を、長期運用によってさらに広げる可能性がある制度
という方が近いのかもしれません。
お金を持っている人が投資をすることが悪いわけではありません。
稼げる能力も大事。
蓄える力も大事。
投資について勉強することも大事。
「文句があるなら自分も稼げばいい」
究極的にはそういう話なのかもしれません。
でも、みんながそれを出来るなら、そもそも格差なんて生まれていないんですよね・・・。
そして私には子供どころか嫁すらいませんので、
「じゃあ自分の子供にはどうする?」
と聞かれても答えようがありません。
それでも、もし自分に子供がいたと考えると悩むと思います。
将来困らないように出来るだけ多く残してやりたい。
でも、
「あなたが大人になった時のために貯めておいたから、子供の頃はいろいろ我慢してね」
というのも何か違う。
将来の100万円も大事だけど、今しか出来ない経験も大事。
だから、もし私なら「こどもNISAを満額にすること」より、まず今しか出来ない経験にお金を使わせてあげたいかな。
余裕があれば、その残りをNISAへ。
そんな順番にする気がします。
まぁ、実際に子供がいるわけではないので好き勝手言ってるだけなんですけどね。
子供もいない独り者が、なぜか人様の子供の将来とNISAについてここまで考えている。
自分でも何やってるんだろうと思います。
でも制度が出来る以上、これから生まれるのは「NISAをやっている人・やっていない人」の差だけではありません。
「親が子供のNISAにいくら入れられたか」という差も出てくるのでしょう。
18歳になった時、
片方は奨学金という借金からスタートする。
片方は親が長期間運用してくれた資産を持ってスタートする。
本人たちは何も悪くありません。
だからこそ、ちょっと悩ましい制度だなと思います。
将来のためにお金を残すこと。
今しか出来ない経験にお金を使うこと。
どちらも子供のため。
さて、どっちを優先するのが正解なんでしょうね。