ここ2カ月ほど、床糊に始まりクロス糊など接着剤関連の供給体制に問題が生じていましたが、最近になってクロス糊については少しずつ目途が立ってきたように感じています。
当初は「とりあえず確保しておこう」という心理が働き、多くの業者が必要以上に在庫を抱えようとしていました。さらにSNSや業界内の口コミで不足情報が広がったことで、不安による買い込みも加速していました。
しかし最近は、その需要が一巡した印象があります。
現場数自体が減少傾向にあることも影響しているのでしょう。供給側も生産を続けている中で、徐々に市場全体の需給バランスが取れてきたように感じます。
もちろん現在でも出荷制限は続いています。
それでも以前のような「今頼んでもいつ入るか分からない」という状況からは少し改善され、メーカーや問屋さんも必要数量については融通してくれるケースが増えてきました。
実際、騒動が始まった頃には
「今注文してもすぐには回せないかもしれません」
と言われていた案件でも、現在は事前発注している分については比較的きちんと割り当てしてもらえています。
少なくともクロス糊については、最悪期は脱しつつあるのかもしれません。
しかし問題は床糊です。
こちらは依然として状況が厳しく、早めに発注していた現場であっても糊だけが入ってこないケースが少なくありません。
私のところでも多少の在庫は確保できているため、住宅の洗面所やトイレ程度のクッションフロア工事であれば何とか対応できています。
ですが店舗工事などで床糊の大缶が必要になると話は別です。
「まだ出せません」
という返答を受けることも珍しくありません。
周囲の業者さんからも、
「1カ月前に注文した4缶がまだ入ってこない」
という話を聞きます。
現場が止まるほどではないにしても、工程調整や材料手配にはかなり神経を使う状況が続いています。
糊不足の話が出始めた頃には、
「通常通り製造しています」
という説明も聞いていました。
もちろんメーカーとしては可能な限り生産を続けているのでしょう。
しかし、もし本当に通常通りの供給能力が維持できているのであれば、ここまで長期間にわたって品薄状態が続くことも考えにくいはずです。
どこかの工程で原材料不足が起きているのか。
輸送や保管の問題なのか。
あるいは一部原料の供給が想定より細くなっているのか。
詳細は分かりませんが、少なくとも現場レベルで見る限りは「通常通り」と言える状態ではないように感じます。
政府もナフサ供給については問題ないと説明していますし、供給網の目詰まり解消に向けた調査も行っているようです。
ただ、ナフサが国内に十分あることと、末端の商品が問題なく手元に届くことは別の話です。
原材料から最終製品になるまでには多くの企業や工場が関わります。
どこか一か所でもボトルネックが発生すれば、最終的には現場で「商品が無い」という形になって現れます。
今回の件は、改めて供給網の複雑さを感じさせる出来事でもあります。
私個人としては、様々な商品の供給状況が完全に正常化するには、まだ半年程度は掛かるのではないかと予想しています。
もちろんその間に改善が進む可能性もありますし、逆に新たな問題が発生する可能性もあります。
世界情勢や原材料価格、物流環境など不確定要素はまだまだ多く残っています。
だからこそ大切なのは、楽観も悲観もし過ぎないことだと思います。
「もう大丈夫だろう」と油断してもいけませんし、「全部無くなる」と過度に不安になる必要もありません。
その時々の状況を確認しながら、必要な情報を集めて判断していくことが重要です。
今回の糊不足騒動でも、早めに情報を掴んだ人ほど対応の選択肢が多くありました。
これからも材料不足や価格変動は何度も起こると思います。
だからこそ、普段から情報収集のアンテナを張り続けることが、現場を止めない一番の対策なのかもしれません。