最近のニュースを見ていると、建設業に限らず様々な業種で倒産件数の増加が報じられています。
私自身も仕事柄、多くの業者さんや取引先と話をする機会がありますが、「思った以上に厳しい」という声を聞くことが増えてきました。
現在の倒産理由として多いのは大きく二つ。
一つは、物価高や人件費上昇に対して十分な価格転嫁ができず、赤字が膨らんで資金繰りに行き詰まるケース。
もう一つは、昨今の資材不足の影響です。必要な材料が入荷しなければ仕事を受注しても施工できません。当然売上も立たず、資金が回らなくなってしまいます。
さらに今後は金融機関の再編も進んでいくと言われています。
これまで付き合いのあった地元金融機関から融資を受けられていた企業でも、統廃合によって融資判断が厳しくなれば、資金調達が難しくなる会社も出てくるでしょう。
そう考えると、倒産件数はまだ増えていく可能性があるように感じます。
ただ、こうした状況を見ていると、一つ思うことがあります。
本来であれば、もっと前に淘汰されていたはずの企業も少なくなかったのではないかということです。
コロナ禍では各種支援策や実質無利子融資などが行われました。
もちろん当時は必要な施策だったと思います。
しかしその結果、本来であれば市場から退出していたかもしれない企業が存続し続けた側面もあったでしょう。
いわゆる「ゾンビ企業」と呼ばれる存在です。
例えば仕事が10件しかない市場を考えてみます。
本来5社で回せば各社2件ずつ受注できるところを、10社で取り合えば1社あたり1件しか回ってきません。
そうなると価格競争は激化します。
少しでも仕事を取ろうと無理な値引きが発生し、人材も各社に分散してしまいます。
建設業では長年こうした状況が続いてきたようにも感じます。
しかし淘汰が進めばどうでしょう。
競争相手が減ることで一社あたりの受注量は増えます。
職人や技術者も生き残った会社へ集まりやすくなります。
そして何より、適正な利益を確保できる環境が少しずつ整っていく可能性があります。
これまで「他社が安いから」という理由で押し付けられていた価格も、業者数が減れば簡単には通用しなくなります。
結果として下請け企業から元請け企業への価格交渉力も高まり、これまで上流で止まっていた利益が現場側へ流れてくる可能性もあります。
賃上げもしやすくなるでしょう。
人手不足と言われながら賃金がなかなか上がらないという矛盾も、ある程度改善されるかもしれません。
もちろん良いことばかりではありません。
競争相手が減るということは、発注者や消費者から見れば選択肢が減るということです。
地域によっては工事を依頼できる業者が限られたり、価格が上昇したりする可能性もあります。
過度な競争が問題なら、過度な寡占もまた問題です。
そのバランスを取ることが大切なのでしょう。
結局のところ、市場というのは循環しています。
利益が出ない業界になれば人が減る。
人が減れば希少価値が上がり利益が出る。
利益が出れば新たな参入者が増える。
そして再び競争が始まる。
本来ならこうした循環と淘汰が自然に行われるはずでした。
しかし長い間、様々な要因によってその循環が歪んでいたのかもしれません。
だからこそ、今起きている倒産ラッシュは非常に苦しい状況である一方で、業界全体が次のステージへ進むための通過点でもあるように感じます。
問題は、その未来が来るまで生き残れるかどうか。
大手企業の方が資金力も信用力もあり有利なのは間違いありません。
中小企業にとっては今が一番苦しい時期かもしれません。
それでも、この厳しい時代を乗り越えた先には、今より少しだけ適正な利益を確保できる環境や、技術者が正当に評価される未来が待っているのではないでしょうか。
そう信じながら、まずは目の前の仕事を一つずつ積み重ねていきたいと思います。