世間の流れは個人事業主ではない

「独立=正義」「会社員=安定だけど自由がない」
少し前まで、そんな空気感がかなり強かったように感じます。

特にここ数年は、政治の方でも副業解禁の流れを後押ししたり、「自分の力で稼ぐ」という方向へ誘導するような発信が増えていました。
SNSでも「脱サラして自由になった」「会社に縛られない生き方」といった発信が目立ち、実際に私の周りでも独立した人はかなり増えました。

しかし最近、その流れが少し変わってきているように感じます。

むしろ今は「一度独立したけど、会社員に戻る」という人が増えている印象があります。

理由はいくつもあると思いますが、一番大きいのはやはりインフレの影響ではないでしょうか。

個人事業主や小規模事業者というのは、どうしても仕入れや価格競争で不利になりやすい部分があります。
ある程度規模のある企業なら、大量仕入れによる価格交渉も出来ますし、固定費を分散させることも可能です。

しかし個人ではそうはいきません。

そこへ物価上昇が重なり、さらに仕事量が減ってくると、大手企業ですら「小さい仕事でも拾いに行く」動きになります。
そうなると個人事業主側は価格競争に巻き込まれ、利益を削ってでも仕事を取らないといけない場面が増えてきます。

「売上はあるのに利益が残らない」

そんな状態になりやすいんですよね。

さらに独立すると、会社員時代には見えにくかったコストが一気に見えるようになります。

会社員であれば、総支給50万円でも手取りは40万円弱くらい。
ボーナス込み年収700万円でも、実際の手残りは500万円台くらいになるケースも多いと思います。

この「引かれすぎ」と感じる感覚から、
「だったら独立して自分で稼いだ方が得じゃない?」
と思う人も多いでしょう。

ですが実際に独立してみると、今度は逆のことに気づきます。

会社が負担してくれていたものの大きさです。

厚生年金の会社負担分。
健康保険の会社負担分。
車両費。
燃料代。
労災。
道具。
通信費。
事務処理。

会社員時代には「会社が払って当然」と思っていた部分が、全部自分の粗利から出ていく形になります。

しかも個人事業主は、
「経費で落とせる」
という言葉だけが独り歩きしがちですが、結局は“使ったお金”です。

税金が少し減るだけで、現金が増えるわけではありません。

さらに厳しいのは、「休んだら終わり」という部分。

会社員なら病気やケガ、有休、慶弔休暇など、何かしら守られている部分があります。
もちろん会社によって差はありますが、ゼロになることは少ないでしょう。

しかし個人事業主は違います。

休めば売上ゼロ。
働けなければ収入ゼロ。

しかも固定費だけは毎月出ていきます。

この精神的負担は、実際に独立してみないとなかなか分からない部分かもしれません。

最近では転職サイトなどでも、
「脱サラ後に再び会社員へ戻る人が増加」
という内容を見かけるようになりました。

企業側も、以前より中途採用に積極的です。

新卒をゼロから育てるより、
「既に現場経験があり、即戦力として動ける人」
を求める流れが強くなっています。

終身雇用は崩れつつあると言われていますが、それでも会社側は“長く働いてくれる人”を欲しがっています。

そう考えると、
「独立より会社員の方がメリット大きい」
と感じる人が増えるのも自然な流れなのかもしれません。

ただ、だからといって「独立は間違い」とも思いません。

むしろ逆です。

世間全体で独立する人が減るなら、競争相手が減るという見方も出来ます。

独立がブーム化していた時期は、とにかくライバルが増えすぎていました。
そこから少し流れが変わるなら、本当に実力のある人や、しっかり準備している人にはチャンスになる可能性もあります。

結局大事なのは、
「会社員か独立か」
ではなく、

「どちらになっても生きていける準備があるか」

なのかもしれません。

今の時代、会社が永遠に存在する保証もありません。
突然仕事が減ることもありますし、会社の方向転換で立場が変わることもあります。

逆に個人事業主でも、しっかり顧客を持ち、利益管理できる人は強いです。

だからこそ、
「自分は会社員だから安心」
でもなく、
「独立したから勝ち」
でもない。

いつ何が起きても、
「まぁ何とか出来るよ」
と言える状態を作っておくこと。

それが今の時代、一番大事なことなのかもしれません。

投稿者: クロス

約20年のインテリア(内装工事)の実績から、住宅購入者のお悩み解決できたらいいなと思いサイトを立ち上げました。 これから住宅を購入検討されてる方へのアドバイスや、賃貸物件でのお役立ち情報も出せたらいいなと思っています。最近プライベートな記事も多いですが

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