「この春入社の新入社員が、4月30日・5月1日を有給休暇にして8連休にした」
そんな内容の記事を見かけました。
読んでいて「今どきの若い人はすごいな」と感じる人もいれば、「権利なんだから当然」と感じる人もいるでしょう。逆に、会社側の立場で見れば「入社して1カ月でそれはどうなんだ」と思う人もいるかもしれません。
ただ、私が最初に引っかかったのは、そこではありません。
「そもそも入社1カ月で有給休暇って使えるの?」という部分です。
一般的には、有給休暇は入社から6カ月継続勤務し、出勤率などの条件を満たした後に10日付与されます。もちろん会社によっては、入社時点で有給を前倒し付与する制度を設けている場合もあります。なので絶対にあり得ない話ではありません。
しかし、記事を読む側としては、そこで一度立ち止まる必要があると思うんです。
「この会社は入社時点で有給を付与する制度なのか?」
「それとも記事の表現が少し大げさなのか?」
「読者の反応を狙って、あえて引っかかりやすい書き方をしているのか?」
こういう視点です。
もう一つ気になったのが、「年5日の有給休暇取得義務があるから、会社は休ませなければならない」という見方です。これは確かに大事な制度です。ただし、それがそのまま「労働者が希望した日は、会社は必ず何も言わずに休ませないといけない」という話になるかというと、少し違います。
有給休暇は労働者の権利です。そこは間違いありません。
一方で、会社側にも「どうしてもその時期に休まれると事業運営に支障が出る」という場合には、時季変更権という考え方があります。もちろん、会社が何でもかんでも拒否できるわけではありませんが、会社側の視点もまったく無いまま話が進むと、少し偏った印象になります。
今回の記事では、「上司が新人に何も言えない」「管理職になることはデメリットばかり」という空気が少し強めに出ていたように感じました。
ただ、記事の後半部分は個人的には好きでした。
「権利だから何でも主張すればいいわけではない」
「休みを取ること自体は悪くないが、周囲との関係や状況判断も大切」
「自分の立場だけでなく、まわりを見て動くことも必要」
こういう方向に話が進んでいたからです。
結局、ネット記事を読むときに大事なのは、最初に受けた印象だけで判断しないことだと思います。
見出しだけを見ると、「最近の新人はすごい」「会社はもう何も言えない」「管理職は損だ」といった方向に受け取ってしまいがちです。でも、本文をよく読むと少し違う話をしていることもあります。
逆に、本文の中にも「ここは本当にそうなのか?」と疑って見るべき部分があります。
これはネット記事に限らず、AIが作った文章でも同じです。
私自身も、ブログの下書きを自分でほぼ書いたうえで、ChatGPTに編集や構成を手伝ってもらうことがあります。ただ、そのまま使えるかというと、そうではありません。
こちらが伝えたかった意味と少し違う方向に整えられていたり、言い回しがきれいになった代わりに本来のニュアンスが薄くなっていたりすることもあります。
文章としては正しそうに見える。
でも、自分が言いたかったこととは少し違う。
こういうことは普通にあります。
だからこそ、ネット記事でもAIの回答でも、「書いてあるから正しい」と受け取るのではなく、一度自分の中で考えることが必要なんだと思います。
「これは本当にそうなのか?」
「別の立場から見るとどうなるのか?」
「制度や前提条件が抜けていないか?」
「自分の経験と照らして違和感はないか?」
そうやって疑いながら読むことは、決して性格が悪いわけではありません。
むしろ、今の時代には必要な読み方だと思います。
ネットには情報があふれています。見出しの強い記事、感情を揺さぶる記事、わざと対立を作るような記事もあります。AIによって、それっぽい文章も簡単に作れるようになりました。
だからこそ、最後に必要なのは「自分で考える力」なんでしょうね。
記事を読む。
情報を集める。
AIに聞く。
人の意見も見る。
でも、最後に「自分はどう考えるのか」を決めるのは自分です。
そのためにも、ネット記事はただ読むだけではなく、少し疑って見るくらいがちょうどいいのかもしれません。