年度末工事。
ようやく終点の目途が立ってきました。
現場を回っていると、どこも同じような状況。
職人さんも監督さんも、ギリギリのところで踏ん張っています。
そんな中で今回は
「頑張る監督さんが頑張れない環境」
について書いてみたいと思います。
突貫工事は「監督のミス」だけじゃない
年度末の突貫工事。
世間一般では
「段取りが悪かったから遅れた」
「監督の采配ミス」
という話になりがちです。
確かにそういう現場がゼロとは言いません。
ですが、現実はもっと複雑です。
近年の突貫工事の背景には
制度と現場のズレ
という大きな問題があります。
2024年問題が始まってから2年
建設業の労働時間規制が本格的にスタートしたのが
2024年。
いわゆる
「2024年問題」
と言われていたものです。
あれから約2年。
当初はこう言われていました。
- 完全週休二日制にする
- 労働時間を厳格に管理する
- その分、工期は約20%延びる
- それを前提に契約を取る
理屈としては非常に分かりやすい話です。
そして正しい方向性でもあります。
ですが、現場では
この前提が崩れています。
現実は「工期はそのまま、規制だけ増えた」
お客様のニーズはシンプルです。
- 安く
- 早く
- いいものを
この3つ。
当然のことです。
しかしその結果、現場ではこんなことが起きています。
- 工期は延びない
- 価格は上げられない
- でも労働時間は減らせ
つまり
仕事の量は変わらないのに、働ける時間だけ減った
という状況です。
「パソコンを開くな」という謎ルール
最近、実際に聞いた話があります。
現場に職人さんが残って作業している。
監督さんも当然、現場に残って対応している。
でも会社からこう言われる。
「パソコンの電源を入れるな」
理由は単純です。
パソコンを開く
↓
ログが残る
↓
「労働していた」と判断される
↓
会社が困る
だから
電源は入れないで出来ることをやってくれ
という指示になる。
これ、どう思いますか?
やらなきゃいけないことはある。
でも、やったことを記録すると問題になる。
つまり
働けと言われているのに、働いた証拠は残すな
という状態です。
これが健全な仕組みとは、とても思えません。
「段取りすればいいじゃないか」という無責任な言葉
監督さんに対して、会社がよく言う言葉があります。
「うまく段取りして、人を集めればいいじゃないか」
確かに理屈としてはそうです。
でも現実はどうでしょう。
建設業は慢性的な人手不足。
- 頼んだ業者が予定通りに入れない
- 人を探しても見つからない
- 見つかっても品質や速度に問題がある
こういう状況は、もはや日常です。
段取りの問題だけでは解決できない。
それでも最終的な責任は
現場の監督さんに集中します。
無理をすると品質が落ちる
人が足りない。
時間も足りない。
そうなると何が起きるか。
当然ですが
品質が落ちます
- 仕上がりが雑になる
- 手直しが増える
- クレームが増える
- 信頼が落ちる
誰も得をしません。
でも現場では
品質を守ろうとする人ほど無理をする
という構図になります。
「やらなきゃいけない」がブラックを生む
多くの監督さんは責任感が強いです。
- お客様のため
- 現場のため
- 職人さんのため
だから
やらなきゃいけない
と思って動きます。
でもその結果どうなるか。
- 規制に引っかかる
- 残業が増える
- 評価されない
- 場合によっては叱られる
つまり
頑張った人ほど損をする
という構造です。
縛るべきは「時間」じゃない
ここで一度、原点に戻って考えてみたいです。
本当に縛るべきものは何なのか。
時間でしょうか?
私は違うと思っています。
縛るべきなのは
結果を無視した働き方
です。
例えば
- ダラダラ長く働く
- 効率の悪い作業を続ける
- 無意味な残業をする
こういう働き方は確かに問題です。
でも
- 現場を守るために働いた
- 品質を守るために残った
- 工事を完遂するために対応した
こういう時間まで一律に縛るのは
本当に正しいのでしょうか。
必要なのは「禁止」ではなく「評価」
会社の立場も分かります。
労働基準法に違反するわけにはいかない。
これは当然です。
でもだからといって
やったことを無かったことにする
のは違うと思います。
必要なのは
禁止
ではなく
評価
です。
例えば
- 緊急対応時間を正式に記録する
- 工事完遂に必要だった時間を評価する
- 現場貢献度を数字で残す
- 繁忙期の特別手当を設ける
こういう仕組みは
決して不可能ではありません。
評価できれば、人は残る
建設業の最大の問題は何か。
人手不足です。
そしてもう一つ。
人が辞める
ことです。
特に
- 能力のある人
- 責任感の強い人
- 現場を回せる人
こういう人ほど疲弊して離れていきます。
理由はシンプルです。
頑張っても報われないから
です。
これから必要なのは「現場を守る制度」
会社の都合
政治の都合
制度の都合
もちろん大事です。
でも現場ではもっとシンプルな思いがあります。
お客様のために、ちゃんと工事を終わらせたい
それだけです。
そのために働いた時間。
その努力。
その責任。
これを
きちんと評価できる制度
にしていかなければなりません。
最後に
やらなきゃいけないことをやった。
それなのに
「やっちゃダメ」
と言われる。
この矛盾が続く限り、
現場は疲弊し続けます。
そして
人は減り
品質は落ち
業界は弱くなる
これは誰にとっても不幸なことです。
だからこそ思います。
縛るべきは時間じゃない。
評価すべきは働いた中身だ。