高齢者が働き、若者が休む。これからどうなる?

建設業って、他の業種に比べてもかなり高齢労働者が多い業種ではないかと思います。

「高齢者でも働ける良い職種」という見方も出来ますが、実際にはもう少し現実的な事情があります。
長年個人事業主として働いてきた人が多く、年金や社会保障だけでは生活が難しい。だから体が動く限り現場に出る。そういう人がかなり多いのがこの業界です。

さらに建設業は長く「3K(きつい・汚い・危険)」と言われてきた仕事。
そのため若い世代の参入が少なく、高齢者が多い業界構造になっています。


昔は「学歴なしでも稼げる仕事」だった

少し前までであれば、若い世代が建設業に入る理由ははっきりしていました。

それは「稼げるから」です。

職人の世界は、やった分がそのまま収入に反映される業界です。
真面目に修行して腕を覚えれば、同年代よりもかなり高い収入を得ることも珍しくありません。

例えば中卒でこの世界に入った場合、
早い人だと22歳くらいで月50万円を超える収入になることもよくあります。

体力もあり、一番仕事が出来る年代。
そこから月100万円レベルを目指して働く人も多くいました。

学歴よりも腕。
そして努力した分だけ稼げる。

そういう意味では、建設業は若者にとって非常に分かりやすい仕事だったんです。


「大卒初任給40万」のイメージが若者を遠ざけた

しかし最近、状況が大きく変わりました。

ニュースでは
「大卒初任給40万円」
といった話題が大きく取り上げられるようになっています。

もちろん現実には、その水準に入れる人はごく一部です。
ですが情報として拡散されるのは“夢のある部分”ばかり。

その結果どうなるか。

「とりあえず大学行っておけばいいんじゃない?」

という流れが出来てしまいました。

かつては珍しくなかった
「中卒で職人の世界に飛び込む」
という人は、今ではほとんど見かけないレベルまで減っています。


働き方改革と「職人の仕事」の相性

もう一つの問題があります。

それが 働き方改革 です。

今の社会は

  • 週休2日
  • 週の労働40時間
  • 残業規制

といった方向に制度が進んでいます。

もちろん働き過ぎは良くありませんし、制度として必要な部分もあります。
ですが職人の仕事は基本的に 「やった成果=収入」 です。

つまり休めば休むほど収入は減る構造です。

この仕組みの中で
「休みを重視する社会」と
「働いた分だけ稼げる仕事」
は、どうしても相性が悪い。

結果として、

「職人になっても儲からない」

という印象が広がり、若手離れがさらに進んでしまいました。


現場は今、高齢者に支えられている

では今、現場はどうなっているのか。

実はかなり危ういバランスで成り立っています。

建設現場では、工期は多少延びたとはいえ大きく変わっていません。
もしお客さんの希望する工期に間に合わないなら、そもそも受注が取れません。

そのため営業は多少無理をしてでも仕事を取ってきます。

そうなると何が起きるか。

突貫工事です。

工程が詰まり、土日も動かなければ終わらない。
こういう状況が珍しくなくなっています。

そこで現場を支えているのが誰かというと――

高齢の職人たちです。

若い世代は土日休み。
しかし現場は終わらせないといけない。

結果として

若者が休み、高齢者が働く

という逆転現象が起きています。


しかしその高齢者も、もうすぐいなくなる

問題はここからです。

今現場を支えている高齢の職人たち。
この人たちは今後数年のうちにかなりの割合が引退します。

理由は単純です。

体力です。

建設業はやはり体を使う仕事。
70歳まで現場に出る人もいますが、それでも限界があります。

つまり

今現場を支えている層が、近い将来一気に減る

ということです。


「急ぎの工事」が出来なくなる時代

ここで一つの疑問が出てきます。

では将来、

その急ぎの工事、誰がやるんでしょうか?

若い世代は
制度に守られた働き方を選びます。

個人事業主は嫌われる。
社員職人になれば労働時間の制限がある。

つまり

突貫工事に対応できる人がいない

という状況が見えてきます。

そうなるとこれまでの

「多少無理してでも仕事を取る」

という営業スタイル自体が通用しなくなります。


建築費は「材料」から「人件費」へ

これまで建築費が高騰してきた原因は、主に材料でした。

  • 木材
  • 鋼材
  • 住宅設備
  • 物流費

これらの値上がりが建築費を押し上げてきました。

ですがこれからは、もう一段階変わります。

人件費です。

職人が減れば、当然単価は上がります。
人が足りなければ、工期も延びます。

結果として

  • 人件費の上昇
  • 工期延長によるコスト増

この二つが同時に発生します。

つまり本格的に

「人手不足由来の建築費高騰」

の時代に入っていきます。


今が一番安い時代になるかもしれない

さらにここに

  • 住宅ローン金利の上昇
  • 人件費高騰

が重なってきます。

そう考えると、

「今建てるのが一番安かった」

という状況が数年後に起きても全く不思議ではありません。

建設業界の内部から見ていると、
人手不足はかなり深刻なレベルまで進んでいます。

若手が働ける環境を作らない限り、この業界の未来はかなり厳しい。

高齢者が支えている今の現場は、実はかなり危ういバランスの上に成り立っているんです。

投稿者: クロス

約20年のインテリア(内装工事)の実績から、住宅購入者のお悩み解決できたらいいなと思いサイトを立ち上げました。 これから住宅を購入検討されてる方へのアドバイスや、賃貸物件でのお役立ち情報も出せたらいいなと思っています。最近プライベートな記事も多いですが

高齢者が働き、若者が休む。これからどうなる?」に4件のコメントがあります

  1. クロス様
    ありがとうございます🙇‍♀✨
    はい
    建築業界の情報や愚痴は、お互いに何時間あっても足りないほど議論出来そうですものね😅
    クロス様のブログを業界の人が目をつけて、よく読んで欲しいと思います😤

    1. KUMI kotobukiさん
      建設業の愚痴は山ほどありますが、周りを聞いててもちょっとずつニュアンスが違ったり、それアンタの問題!なんてこともあって面白いですよね😓
      今回の値上げ関連記事以降ちょっと見てくれる人が増えた気がします。
      このまま続くように・・・出来るかな~?💦
      頑張ります!!

  2. クロス様
    大変ご無沙汰致しております🙇‍♀
    確かにねぇ…
    わたくしの父は80歳になりますが、文化財などの現場だと渋々ながら現場に出ざるをえない感じです💧『何故息子(弟)に技術移転してないの⁉️』と言うと『昔の建物は頑丈やから、そうそう建て替えとかリフォームも無いし、技術を教えたくても現場の数が無いから困難やったんや』と。これからの建築業界は、いろいろ変わりそうですねぇ〜。
    この変革には、痛みも伴いますが、新しく生まれ変わる切っ掛け!と、ポジティブに捉えることが出来ると良いのですが、仰る通りベテランの職人さんの高齢化が進む中、単純に受け入れられるものでも無いのも現実ですよねぇ💧
    現場の新情報感謝致します🙇‍♀

    1. KUMI kotobukiさん
      待ってました✋コメントありがとうございます。
      なかなか身体が言う事聞かない年齢でも頑張られているんですね💦
      大工工事なんかは顕著なんですが、今の若い子は電動工具のみで手で加工する事すら出来ない子も増えています。出来たとしてもどこをどうすればいいという勝手がわかってない子も多く、その理由としてはその技術を発揮する機会がそもそも激減しているという事に起因しているところでしょう。
      クロス工事に限って話しても、昔であればドレープという生地の壁紙がありました。
      現在ではこういった高級仕上げ材を使った現場はかなり少なく、施工難度も低いビニルクロスがほとんど。特殊材に限ってはそもそも試してみる機会すらないので、技術継承の機会がいつまで経ってもありません。
      こういった技術は誰かが継承していかないといけないとは思うんですけど、新しい物には敵わないんでしょうね。
      これからも建設業の内情ブログとして頑張っていきます👍

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