内装仕上げ材最大手のサンゲツから、新商品が発表されました。
先週末、営業さんがプレゼンに来られて
「こんな商品出したんで売ってください」と紹介されたのが
「INNO PANEL(イノパネル)」
石膏ボードにあらかじめクロスが貼られた状態で出荷される仕上げパネルです。
吉野石膏、フジプレアムとの3社共同開発とのこと。
いわば
「貼らなくていい壁紙」
です。
開発背景は“職人不足と工期短縮”
この商品の開発背景は明確です。
- 職人不足
- 工期短縮
- 品質の均一化
現場でクロスを貼るのではなく、
工場で仕上げたものを現場で取り付ける。
理屈としては合理的です。
ですが――
実際の現場目線で見ると、課題は山積みです。
現状の制約① 軽鉄下地限定
現在この商品が使えるのは軽鉄下地のみ。
専用テープを軽鉄に貼り、
「マグキャッチ」という専用金具で固定する工法。
木下地やコンクリート下地には対応不可。
つまり住宅現場ではほぼ使えません。
対象となるのは
- 官公庁舎
- 病院
- 老健施設
- 大型商業施設
あたりが現実的でしょう。
現状の制約② 納期2〜3ヶ月、最低100枚
さらに問題は流通。
- 納期:2〜3ヶ月
- 最低発注枚数:100枚〜
戸建てレベルでは完全に非現実的。
現状は“試験導入段階”といったところでしょう。
誰が施工するのか問題
ここが最大の論点かもしれません。
サンゲツ側の説明では
「クロス屋さんに覚えてもらえたら、仕事を減らさずいける」
とのこと。
ですが現実はどうでしょう。
石膏ボードは重量物です。
これまでのクロス職人は重量物前提で体ができていません。
さらに必要になる道具は
- 電動ノコ
- ガイド定規
- 精度の高いカット技術
今までの道具はほぼ通用しません。
逆に、ボード屋さんはどうか。
石膏ボードは多少切り過ぎても後でクロスで隠れます。
ですが今回はそれが“仕上げ”。
カット精度がそのまま見た目に直結します。
どちらにとっても簡単な話ではありません。
結局、全部置き換わらない問題
もう一つ大きなポイント。
出隅・入隅などの端部は従来工法。
つまり
- 面はイノパネル
- 手間の掛かる部分は従来工法
という構図になります。
これがどういう意味を持つか。
仕事の“美味しい部分”は工場製品へ。
“手間だけ掛かる部分”は現場へ。
結果、
- ボード張り単価上昇
- クロス単価上昇
- 職人数減少
- いざという時に人がいない
という未来も想像できます。
コストと流通の不安
価格は教えてもらえませんでした。
ですが、現状より安くなる可能性は低いでしょう。
さらに流通面。
クロスは問屋経由。
ボードは建材屋経由。
この商品はどちらで動くのか?
両方扱える業者でなければ配送すら難しい。
流通整備も大きな課題です。
既視感は「プリント合板」
正直に言えば。
「これ、昔のプリント合板じゃない?」
という感覚は否めません。
防火性能がクリアできれば、
過去に似た発想はすでに存在していました。
ただし今回は
- 品質の安定
- 不陸対策
- 磁石固定
など、技術的進化は確実にあります。
では、壁紙は終わるのか?
答えは「まだ早い」です。
ですが。
方向性としては確実に“工場化”へ向かっている。
これは間違いありません。
- 現場で作る → 工場で完成させる
- 職人技 → システム化
- 技術継承 → 標準化
内装仕上げも例外ではないということです。
これからの内装仕上げの行方
この商品が成功するかは分かりません。
ですが
「そんなものあるんだ」
「将来的に出来るようになった方がいいのかな?」
と考えるきっかけにはなります。
変化に拒否反応を示すか。
早めに触れておくか。
どちらが生き残るかは明白です。
内装業の仕事のあり方は、
これから5年で大きく変わるかもしれません。
施工方法などはYouTubeで公開されています。
実際に見て、自分なりに考えてみてください。
▶ INNO PANEL 紹介動画
https://youtu.be/a5n6VhaOq6c?si=OXynlJTQGJcL5SXs