先日「年度末が近づいて退職が増えている」という話を書きましたが、どうやら最近目立つのが――
一人の退社をきっかけに、連鎖的に辞めていく“ツレ退社”現象。
最初に辞めた人は、家庭環境を理由とした自己都合退社でした。
そこにネガティブな印象はありません。
しかし、その後に続く人が出てくる。
理由は本人に聞いていないものの、私なりに見えてきたパターンがあります。
パターン1:少数派の孤立化(特に女性スタッフ)
建設業は、いまだに男性社会です。
職人の世界はほぼ男性。
営業は多少女性が増えたとはいえ、重量物を扱う場面もあり割合は少なめ。
経営者も圧倒的に男性。
唯一、女性割合が高いのは事務・経理部門くらいでしょう。
そんな環境で、数少ない女性スタッフのうちの一人が辞めるとどうなるか。
単純です。
「職場がつまらなくなる」
同じ立場で共感できる相手がいなくなる。
相談できる相手がいなくなる。
雑談の相手がいなくなる。
仕事そのものよりも、“居場所”がなくなる感覚。
特に少数派は、仲の良い一人が辞めると心理的ハードルが一気に下がります。
「じゃあ私も」
これは男女に限らず、“少数派”に起きやすい現象です。
パターン2:やり手社員の退社による“負担の見える化”
成績の良い上司や同僚が辞めると、何が起きるか。
残された人に負担が乗ります。
特に中小企業では顕著です。
- 管理業務が回らない
- 取引先対応が増える
- クレーム処理が増える
- 教育係まで兼務することになる
そして人手不足の今、代わりがすぐに入る保証はありません。
仮に入ってきても、育つまでは“負担増”。
その瞬間、こう考える人が出てきます。
「この負荷を背負うくらいなら、もっと人がいる会社に移ればいいのでは?」
これは責任回避というより、“合理的判断”とも言えます。
やり手が抜けると、組織の実力が露わになる。
そしてその現実を見て、将来不安を感じる人が動き出す。
パターン3:会社の体力低下を察知している
連鎖退職の根本にあるのは、これかもしれません。
- 資金繰りが怪しい
- 給与支払いが遅れ気味
- 利益が出ているのに還元されない
- 交渉の余地がまったくない
こうなると人は冷静になります。
「沈む船には乗っていられない」
一人が辞めると、
「何か知っているのでは?」という空気が流れます。
それが不安を加速させる。
パターン2のようにエースが抜ける → 業績悪化 → 不安増大 → 退職増加
という負のスパイラルに入るケースもあります。
本当に怖いのは“退職そのもの”ではない
一人辞めること自体は自然なことです。
問題は、
「辞める理由が個人の問題ではなく、組織の構造にある場合」
この場合、賃上げして募集をかけても解決しません。
今の採用市場で言えば、
- 給与を上げる
- 条件を良くする
だけでは人は集まりません。
むしろ必要なのは、
- 業務の属人化を減らす
- 責任が偏らない設計にする
- 情報共有を仕組みにする
- “辞めても回る組織”を作る
という構造改善。
「連れション」みたいな退社は困るけど…
正直な気持ちを言えば、
連れションみたいな流れで「じゃあ俺も」って辞めるのは勘弁してほしい(笑)
でも、それが起きるということは――
会社側に“何か”ある可能性が高い。
連鎖退職は偶然ではなく、
組織の健康診断みたいなものかもしれません。
一人の退職は点。
連鎖退職は線。
この線をどう止めるか。
これからの建設業は
「人を雇う力」よりも
「人が残る仕組み」を持てるかどうかが勝負になりそうです。