― 建設業の契約と工期の作り方を、そろそろ本気で見直す時期 ―
住宅の新築にしても改修にしても、あるいは大型物件の改修工事にしても、ここ最近は「ちょっとした違和感」どころか、はっきりとした異変を感じる場面が増えてきました。
いわゆる「建設業の2024年問題」と言われ始めてから、気が付けばもう2年ほどが経過しています。
当初は「色々言われているけど、結局はこれまで通り現場は回るだろう」と感じていた人も多かったのではないでしょうか。実際、ここ数年は工程そのものは大きく変えず、騙し騙し回してきたというのが正直なところだと思います。
これまでの“当たり前”が成立していた理由
例えば新築住宅の場合。
会社ごとに多少の差はあるものの、
- 着工から約1か月で上棟
- 約2か月で大工工事
- 仕上げ工事に1か月
- 合計3〜4か月程度で完成
この流れを前提に工程が組まれているケースが多かったはずです。
これが成立していた背景には、
- 職人の絶対数がまだ足りていた
- 無理をすれば誰かが何とかしてくれた
- 現場数自体が今より多く、分散できていた
こうした条件がありました。
働き方以前に「人がいない」現実
ところが今は状況が違います。
問題は労働時間規制だけではありません。
- 賃金水準の問題
- 退職・転職のしやすさ
- 高齢職人の引退加速
これらが重なり、そもそも建設業に従事する人が減っています。
「忙しいから遅れる」のではなく、**「人がいないから予定通り進められない」**現場が確実に増えています。
これまでは現場数自体が減っていたため、何とか帳尻を合わせられていました。
しかし、昨年から続いた確認申請の許可遅れにより、今年に入ってからはどの会社も一気に工事を詰め込む流れになっています。
工程のズレは、必ず“後半業者”に降りかかる
人が減った状態で、これまでと同じ進行スピードを求めればどうなるか。
答えはシンプルです。
- 予定通り入れない
- 工程がズレる
- 後半業者ほどしわ寄せを受ける
内装・設備・仕上げと、後工程になればなるほど、
「またズレました」「もう少し待ってください」が繰り返され、
結果的に誰も予定通り動けなくなる悪循環に陥ります。
そして最終的に影響を受けるのが、お施主さんとの約束した工期です。
工期遅延は、品質低下にも直結する
建設業は、周囲の住民との関係性も切り離せません。
近隣が休むから現場も止めざるを得ない、という場面も増えています。
個人事業主の職人さんほど、その影響を強く受けます。
「本当は動けるけど、周囲の状況的に休まざるを得ない」
こうした積み重ねが、さらに工程を押し下げます。
物価上昇で建築費が上がっている以上、
元請け側が「少しでも早く完成させたい」と思う気持ちも理解できます。
ですが現実として、
予算を変えず、工期だけをこれまで通りに保つ
このやり方は、もう限界に近づいています。
「工期を延ばす=遅くなる」ではない
ここで一度、考え方を切り替える必要があります。
- 工期に余裕を持たせる
- 一見すると“誰も入っていない無駄な期間”ができる
- しかし、その余白が調整弁になる
結果として、
- 「工程は変えないけど、早く入れるなら入っていい」
- 各業者が無理なく前倒しできる
- 最終的に予定より早く終わる
こうしたケースも実際には少なくありません。
契約内に工事が終わらないリスクを抱えるより、
余裕を持った工程で、予定通り・品質良く終える方が、
結果的に全員にとってプラスになります。
これからの契約と工期は「組み方」が変わる
これまで通りの感覚で工程を組み、
これまで通りのスピードを期待する。
その前提自体を、そろそろ見直す時期に来ています。
- 人は増えない
- 無理は長続きしない
- 品質と信頼は一度落ちると取り戻しにくい
だからこそ、
工程そのものを抜本的に見直すことが、
これからの建設業にとって避けて通れない課題になりそうです。
「これまでと同じように考えてはいけない」
現場に立っていると、そう実感する場面が確実に増えてきました。