本日発表された「新語・流行語大賞」。年間大賞は高市総理の言葉である
「働いて働いて働いて働いてまいります」
が選ばれました。
政治家が働くのは大いに結構なのですが、どうしても引っかかるのが——
その“働く”の中身は何なのか?
という点です。
昨今は「ワークライフバランス」「働き過ぎ防止」「労働時間規制」ばかりが注目されがちですが、本来議論されるべきは“労働時間”ではなく
働いた結果として何を生み出しているのか(労働生産性)
ではないでしょうか。
■ 建設業での「成果」は非常にシンプル
建設業で働く私たちの場合、担当ごとに仕事の内容や時期がバラバラであっても、最終的に比較できる“成果”があります。
それが
- 売上
- 粗利
です。
現場の場所や条件によって、高速代・燃料費・駐車料金などの差は出ますし、労働時間にも影響があります。
しかし最終的には仕事を積み重ねれば売上が上がり、対応の質や判断力によって粗利も変わります。
うちの会社でも分かりやすい例があります。
- Aさん:定時出社・定時退社 → 売上1,000万、粗利も高い
- Bさん:早朝直行・残業多数 → 売上500万、粗利も低い
文章だけ読むと「頑張っているのは残業しているBさんの方」と思われがちですが、
会社の“成果”として見ればAさんの方が圧倒的に優秀です。
そして建設業の場合、粗利率が倍も違うことはあり得ません。
多少粗利率が低くても、売上が多い人の方が粗利“額”が圧倒的に高いのです。
■ しかし賃金制度は真逆の評価をしてしまう
ところが現在の労働制度では、
- 成果を挙げているAさん:基本給は少し高い程度
- 売上が少ないBさん:残業代で収入が増える
という逆転現象が起きます。
本来であれば
AさんにはBさんの“倍”支払っても良いはずの成果を出しているのに、
実際には賃金差はほとんどつきません。
これは「同一労働同一賃金」という考え方の弊害でもあります。
業務内容が同じでも、
1時間あたりの生産性が2〜3倍違う人が普通に存在する
のに、それが賃金に反映されない。
■ 欧米は「時間」ではなく「成果」で測る
「欧米人は働かない」とよく言われますが、実際には
- 働く人はその短い時間で最大限の成果を上げ
- 仕事が終わればスパッと帰る
という文化です。
一方日本では、
仕事の成果より「どれだけ職場にいたか」が評価のベースになっている。
つまり、制度そのものが「時間労働」を前提に作られてしまっています。
■ 時間規制が“低生産性の働き方”を助長している
人手不足が深刻化しているにも関わらず、政策は「働き過ぎ防止」に偏っています。
その結果、
- 「時間が来ればお金になるから、とりあえず残っておく」
- 「成果より時間で評価される」
- 「できる人に負荷が集中しても、制度上それ以上働かせられない」
- 「生産性の低い人ほど長時間働いた方が収入が増える」
という 悪循環 が発生しています。
本来なら
“1000万の人”に1.5倍働いてもらい、500万の人は別業種へ移ってもらう
方が経済全体では効率が良いはずですが、
日本の制度ではそれすら難しい。
- 解雇規制が強い
- 労働時間規制が厳しい
という二重縛りのせいで、
「働ける人が働けない社会」になっている のです。
■ 政策の焦点を「時間」から「生産性」へ移すべき
日本の労働市場が変わらない最大の理由は、
政策が“時間”に寄り過ぎている ことにあります。
人手不足が加速する中で、
今のまま「時間外労働の削減」一辺倒で進めると、
企業も現場も、ますます生産性の低さに苦しむことになるでしょう。
必要なのは、
- 時間ではなく成果に応じた賃金制度の導入
- 生産性が低い働き方を続けるインセンティブの除去
- 高い成果を出す人が、正当に評価され・働ける環境の整備
- 労働時間規制の“目的”を見直す
といった 労働生産性向上を軸にした制度設計 です。
働いて働いて働いて…
その結果として “何が生まれたのか” を評価しなければ、
日本の労働市場はますます停滞してしまうでしょう。