フラット35。限度額増額ってダメじゃない?

物価高騰の影響はあらゆる分野に及び、住宅価格も例外ではありません。そんな中で今日、「フラット35の上限額を現状の8000万円から引き上げる」という報道がありました。

フラット35は、その名の通り35年間固定金利で借りられる住宅ローン制度です。昨今の政策金利上昇局面では、固定金利で借りておくメリットがあるのは確かです。
一方で、日銀の利上げは今のところ年1回ペース。現時点では変動金利の方が低く、支払い総額で見ればお得という人も多いでしょう。

ただ、今後さらに利上げが進むとすれば、変動金利はじわじわ上がり、結果的に「固定で借りておけばよかった」ということもあり得ます。
そう考えると、フラット35は「安定を買うローン」と言ってもいいかもしれません。

とはいえ——。
「上限8000万では足りないから、もっと借りられるようにしよう」という話、これは本当に良いことなんでしょうか?


■平均年収と借入バランス

2023年時点の平均世帯年収は約530万円。仮に今600万円に上昇しているとしても、決して余裕がある水準とは言えません。
金利1%で8000万円を35年借りると、返済総額はおよそ9485万円。金利負担だけで約1485万円です。
もし金利が2%に上がれば、利息だけで3000万円近くに膨らみます。

さらに借入上限が「1億円」になればどうなるか。
利払いだけで一軒家がもう一つ建つような金額になりかねません。

一般的に、住宅ローンや家賃などの住居費は「収入の3分の1以内」が目安と言われます。
現実的に見れば、年収600万世帯の安全圏は7000万円程度まで。
つまり、上限を上げるという政策は一見“夢を後押し”しているようで、実際には“無理を促す”側面もあるのです。


■家庭の金銭感覚が壊れるリスク

私は建設業に携わっている立場なので、「たくさん建ててもらえるのはありがたい」と正直思います。
ただ、それ以上に「無理して建てた家が原因で家庭が壊れる」という現実も見てきました。

ペアローンを組んで購入したご家庭が、離婚などで返済困難に陥り、泣く泣く売却する——。
そんな話を聞くたびに、家という“幸せの象徴”が逆に“重荷”になってしまっていることに胸が痛みます。

住宅ローンは「借りられる額」ではなく「返せる額」で考える。
これを忘れると、家族の生活も心の余裕も削ってしまいます。


■FPに頼る前に、自分で考える力を

最近では、住宅購入時にファイナンシャルプランナーへ相談する人も増えています。もちろんそれも有効ですが、現代はネット上に膨大な情報があり、金利計算やシミュレーションも簡単にできます。

大切なのは、世の中の動きを理解した上で「自分たちの生活スタイルに合う返済計画」を立てること。
国が限度額を上げたからといって、それに合わせて背伸びする必要はありません。


フラット35の制度そのものは、長期的な安定をもたらす良い仕組みです。
でも「安心して借りられる制度」と「安心して返せる金額」は別問題。

家は、暮らしを守るための場所であって、人生を縛る鎖であってはいけません。
無理のない金銭感覚の中で、“本当の意味でのマイホーム”を手に入れたいものです。

投稿者: クロス

約20年のインテリア(内装工事)の実績から、住宅購入者のお悩み解決できたらいいなと思いサイトを立ち上げました。 これから住宅を購入検討されてる方へのアドバイスや、賃貸物件でのお役立ち情報も出せたらいいなと思っています。最近プライベートな記事も多いですが

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