値上げ交渉の場面で、ちょっと強気に出てみようと「トランプ大統領的な交渉」を試みる人がいました。
トランプ流といえば、「まずは極端に高い要求を突きつけて、交渉の中で“譲歩したように見せる”」というやり方。
希望よりも高く提示し、最終的に落とすことで“安くしてあげた感”を演出する戦術です。
実際にアメリカが各国と行った関税交渉でもそうでした。
日本とのやり取りでも「いきなり25%」という数字をぶつけ、相手を一度ひるませた上で、最終的に「10%で許してやる」とまとめる。
こうした“高く出て落とす”交渉術は、世界一の経済大国という圧倒的な立場があるからこそ通用する話です。
しかし、私たちのような下請け業が同じことをやると話はまったく違います。
相手からすれば「そんなに上げるの? ちょっと考えさせて」と言われて終わり。
その瞬間、別の業者に見積りを依頼し始めるのが現実です。
特に複数社と取引している会社であれば、「無茶を言わない方」に自然と仕事が流れていきます。
トランプ的交渉術は、あくまで「力のある者のための交渉術」。
市場での優位性がなければ、ただのハッタリになって自滅します。
言い換えれば、「力のない者が強気を装うほど、早く淘汰される」世界です。
では、私たちのような立場の業者はどうすればいいのか。
やはり“交渉以前の力”を付けるしかありません。
価格交渉で優位に立ちたいなら、他社が真似できない技術や管理体制を磨くこと。
また、納期対応・施工品質・アフターフォローなどで「この会社にしか頼めない」と思わせる要素を積み上げていくこと。
そうした積み重ねこそが、結果的に交渉を有利に運ぶ“本当の力”になります。
交渉術というのは、あくまで「武器」であって「鎧」ではありません。
武器を振り回しても、地力がなければ相手に通じず、自分を傷つけるだけです。
地道に力をつけて、はじめて強気の交渉が“現実的な戦略”になる。
トランプ的交渉を堂々と使えるような立場で仕事ができるよう、
今日も地力を上げるための努力を積み重ねていくしかないんでしょうね。