あなたの周りの企業、元気ですか?
最近、ニュースを見ていて「また倒産か…」という報道を見かけることが増えた気がします。大手企業の破綻なら大きく報じられますが、実際にはニュースにすらならない中小企業の倒産の方が、数としては圧倒的に多いのが現実です。特にここ1~2年は「聞いたことのある会社が静かに消えている」そんな印象を持つ人も多いのではないでしょうか。
■ 倒産増加の背景
今の倒産増加には、いくつかの要因が重なっています。
まずひとつは「コロナ融資の返済期到来」です。2020年以降に政府系金融機関や民間銀行から受けた実質無利子・無担保の融資。その据え置き期間が終わり、返済が始まっている企業が急増しています。
売上が完全に戻りきらない中で返済が始まり、さらに光熱費・人件費・原材料費の上昇という“三重苦”に直面している企業は少なくありません。
もうひとつは「値上げできない構造」です。
価格転嫁が進むと言われながらも、実際には元請から下請へ、そして末端の個人事業主まで価格転嫁が十分に届いていないケースが多くあります。建設業・製造業・小売業など、どの分野にも共通する“価格のしわ寄せ構造”が根強く残っています。
■ 倒産件数の推移
帝国データバンクや東京商工リサーチの統計によると、2024年から2025年にかけて企業倒産件数は前年比で20〜30%増加しています。
月ごとの件数を見ても、毎月1,000件を超えるペースで推移しており、これはコロナ前の2019年水準を大きく上回る数字です。
特に目立つのが「小規模事業者」と「建設関連業種」。仕入れ・外注費の上昇を価格に反映できず、資金繰りの限界を迎えるケースが続いています。
一方で、黒字のまま倒産する「黒字倒産」も増えています。
これは利益は出ていても、売掛金回収の遅れや借入返済の集中で資金ショートを起こすパターン。
つまり“会計上の利益”より“実際のキャッシュフロー”が重要な時代に入っているということです。
■ 政策金利はこれからどう動く?
さらに今後の懸念材料が「政策金利の引き上げ」です。
日本銀行は長らく続けてきた超低金利政策を段階的に見直し、2025年以降は緩やかな利上げ局面に入ると見られています。
金利が上がるということは、当然ながら借入金の返済負担が増えるということ。
これまで「借りやすかった資金」が「重くのしかかる借金」に変わるタイミングが迫っています。
特に中小企業にとっては、わずか0.5%の金利上昇でも年間の支払利息は数十万円単位で増えます。
それが資材高騰や人件費アップと重なれば、経営のバランスを崩す要因となるのは避けられません。
■ 今後の見通しと生き残る道
倒産件数は、残念ながらしばらく増加傾向が続くと予想されています。
その中で生き残る企業に共通しているのは、
- キャッシュフロー管理を徹底している
- 取引先との価格交渉を妥協しない
- 売掛金・在庫・借入を「見える化」している
- 利益よりも資金の流れを優先している
といった「資金繰りを軸にした経営」を行っている点です。
どんなに優れた技術や実績があっても、資金ショートすれば終わってしまう。
まさに“キャッシュイズキング”という原則を、あらためて思い知らされる時代になりました。
■ 最後に
ニュースで報じられる倒産は、氷山の一角です。
実際には「静かに閉じていく会社」「廃業扱いで姿を消す個人事業」など、統計に表れない“消滅”が数多く存在します。
一方で、逆風の中でもしっかりと経営を立て直している企業も確実にあります。
経営者として今できるのは、「もう一度、自社の資金の流れを見直すこと」。
そして、借入の見直しや取引先との単価交渉を“後ろめたく思わないこと”。
時代の流れが厳しくなるほど、守りよりも“舵取り”が問われる時期なのかもしれません。