昔からよくある「建設現場での盗難」事件ですが、ここ最近また増えてきた感覚はありませんか?
私の印象ですが、昔の盗難事件はどちらかというと“身内の犯行”が多かったように思います。玄関は施錠されていても、普段出入りする業者であればキーボックスの番号を知っていますし、現場への出入りは自由。もっと言えば「その会社を辞めた元社員」というケースも少なくありませんでした。
盗まれる物の代表格は「大工さんのコンプレッサー」「設備機器」「電動ドライバー」など。リサイクルショップに持ち込んでも比較的高値がつきやすいものばかりです。
一方で、私たち内装仕上げの分野ではリセール向きの工具が少ないため、実は盗難被害に遭うケースはそれほど多くありません。糊付け機のように高価な道具もありますが、需要が限定的でリサイクルショップでも値が付きにくく、狙われにくい傾向にあります。
ただし、最近の盗難は少し様子が違います。
現場で一旦荷物を降ろして車を駐車場に移動させる、そのわずかな時間に起きるケースが目立つのです。
建設現場には普段その地域に住んでいない“外部の人”が大勢出入りします。近隣住民にとっても「誰が職人で誰が部外者か」は分かりにくく、怪しい人がいてもあまり注意を向けません。こちら側も近隣住民に対しては無用なトラブルを避けようと、あえて強く対応しないこともあります。
そんな状況の中、私が実際に目にしたのは「散歩風」の高齢者でした。遠目にはただ歩いているだけに見えましたが、近づいてみると置いてある工具をゴソゴソ物色している…。私が駐車場から戻ってくると、こちらに気づいて慌てて逃げていきました。
しかも、その30分前にも同じ現場の周りをうろついていた人物。おそらく私が現場を離れたタイミングを狙っていたのでしょう。
高齢者が盗むには工具は重すぎますし、見つかれば腕力でも逃げ足でも職人に勝てるはずがありません。それでも「バレないだろう」と思って来るわけです。万引きと同じで、たかだか数万円のために逮捕されるのは非常にリスクの大きい行為ですが、そうした高齢者の盗難が増えているように感じます。
背景にはやはり物価高があります。「取ってもバレにくそうな場面」で盗難が増えているのでしょう。特に、大型の建設現場のように職人しかいない環境よりも、町中の一区画にポツンと建っている住宅現場の方が狙われやすい印象です。
これからは、業者同士が情報を共有しながら周囲に目を光らせることが求められる時代になったのかもしれません。