個人事業主という働き方

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先日から後輩や得意先の若手社員の育成や指導という部分での悩みを連日書いています。そんな中で昨今推奨されていた働き方で「起業・独立」というものが世間的にも勧めれているように思います。

私のブログでも毎度おなじみの「令和の虎」でも個人事業主として独立したエクステリア職人さんが出てきていたりというのをみて色々考えさせられます。

まずこの23歳の彼。個人事業主としても現実的に得られるだけの十分な収入があります。会社員としての水準を考えてもこの歳では多い方でしょう。

個人事業主と普通の会社員との違いで一番考えないといけない事が、「雇用保険・厚生年金」などの社会保障が無い事。

まず事業主ということは会社で言うとこの「社長」になります。社員を雇っていないと社長感はないですが雇用される側ではなく雇用する側ですので雇用保険には入れません。また多くの個人事業主は「一人親方」としての現場での労働者的立場で仕事をしている人が殆どです。

そういった社長や一人親方が入る「労災保険特別加入」という制度があります。特に現場で働く社長であれば特別加入していないと社員が路頭に迷うリスクがあります。一人親方であっても収入源である自身に不測の事態があると何も保証が無い事になります。

ですので加入が義務付けられていますが、個人事業主の一人親方では「無駄な出費は抑えたい」という事で加入しない人もかなり多い印象。私の会社で依頼する一人親方には加入を義務付けていますが、応援で頼むことがある職人さんは加入していないですね。

次に厚生年金。こちらも法人ではない個人事業主には加入できません。ですので現状の年金制度でいうところの1階部分の国民年金のみになります。2階部分の厚生年金は個人事業主では小規模企業共済などをかけていく必要があります。3階と言われるiDeCoは条件はあるようですが個人事業主であろうと会社員であろうと関係なく加入できます。

こうなると掛け金さえかけていれば同様に思われますが、会社員の厚生年金は個人と会社で折半である、個人事業主の小規模企業共済は全額自分で払う必要がある、という違いがあります。しかし小規模企業共済は自身で払う金額が決めれる一方会社員の厚生年金は源泉徴収という形で決まった金額が受け取る前に引かれているということになります。

実際自分が支払っている年金額に対して同額を会社が納めてくれているということになると、厚生年金は2万円自身であれば4万円納付されていることになるので、実際の収入は2万円多い事になりますね。そう考えると会社員は安定して厚生年金を納付されていてよく見える部分もあります。

個人事業主のメリットはこれらの年金や労災保険加入しないでも仕事さえ出来れば支出が最大限に抑えられるという部分でしょう。ただし、課税所得が多くなるので税金の納付額は増えます。

小規模企業共済にしろ労災保険特別加入にしろ払っている部分は免税所得となります。900万売り上げがあっても、仕入れが50万であれば850万が所得になりますよね。普通の会社員計算で言うと月の手取りが70万みたいなイメージです。ここから所得税を納付したりする感じですね。

さらに色々加入していなければ、怪我しても保証がない。年金も最低限の5万くらいしかないというデメリットがあるけど、収入は増えるイメージですかね。

ただし、インボイスが始まったので、インボイス登録していると消費税を納税しなければいけません。これまでの話で言えば77万くらいは消費税として納税が必要です。

それらをすべて回避する為に、小規模企業共済を月額7万円・労災特別加入を月額3万円とするとこれまでの話での課税所得は750万円。インボイスで68万の消費税を納めるので実所得として680万くらい。月額にして55万くらいのイメージですね。こでも普通の会社員で言えば多い側の手取りになります。(色々な控除は無視していますけどね。)

ただし、これは個人事業主を書いた場合。

会社員でしたら雇用保険は自身に見えないかくらいで掛かっており、社会的にも認められ状態になるのでローンも組みやすいですし、クレジットカードでも作れます。YouTuberがクレジットカード作れなかったりアパートも借りれないという話を聞いていると会社員は認められているという部分があるというのはメリットでもありますよね。

さらに有休休暇や退職金制度・ボーナスなど、個人事業主では気付きにくいメリットがあります。個人事業主は有休無くても自身の裁量で休めるという事はありますが、自身が好き勝手休んでいると収入が全くなくなるので、ある程度お金を払う側の要望に合わせた働き方は求められます。

ボーナス3か月分とか退職金1000万程度・有休も最低限5日があるようでしたら個人事業主は900万の売り上げくらいだったら、年収500万くらいの人と大差ない水準になってしまいます。その売り上げ900万から得意先に対しての接待などで100万使って控除されたとしても100万支出したことになるので利益が増えたわけではありません。

冒頭の令和の虎志願者に関しては会社員の方がメリットが多く感じられたのではないでしょうかね。ここに志願して図面を引いて自身で元請け側に近づくにつれ利益が増えるという部分に関しても、自身で図面を弾くようになると現場で働く時間も製図に時間が取られるようになります。1日2万収入があっても実働が半分になり残り半分が製図に掛かれば変わらないですし、考えが甘いな~なんて場面が多々ありました。

しかも個人事業としてすべてを手掛ければ3倍くらいの収入を想定している様子なのですが、1案件あたりの実入りは3倍になったとしても活動時間が3倍になるわけではないので、いざ請け負った仕事がこなせない状況になると信用問題にも繋がってきます。それが難しいところですよね。

次につながる為に見積りや設計作業などがありますが、現場の進行状況とは関連無く進みます。現場作業の方は引き渡しまでの工程がありますのでその範囲内で次の仕事への調整が出来ればなんとかできますが、現場がどれだけひっ迫していても見積りは待ってもらえない場合があります。そうなると未来の仕事への影響があったりしますよね。

そこらへんの役割を分業する事でになっている現状で、「一人がまとめてやったら儲かる」という考えはかなり危険。っというか私もブログにYouTubeに編集にというのを本業と並行して「全部自分で!」とやってしまっているのがそれじゃ難しいよねと思う最たる例。本業が20年以上やっているのである程度の流れが分かりできるのですが、新たに覚えることは想像以上に労力が掛かっちゃいますからね。

っということで現状、自身での起業・独立というのは封印している感じ。もっと言えば経理作業が入ってきたら私苦手なんでそこだけで詰まっちゃいそうですしね。

目先に大きく儲かるように見える個人での働き方というのは場合によりますが、上手く行くのであれば先人たちがとっくに事業として成り立たせているでしょうからね。

何かいいやり方無いかな~っていうのを現状の働き方や改革の流れと併せて常に模索していきたいですね。

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投稿者: クロス

約20年のインテリア(内装工事)の実績から、住宅購入者のお悩み解決できたらいいなと思いサイトを立ち上げました。 これから住宅を購入検討されてる方へのアドバイスや、賃貸物件でのお役立ち情報も出せたらいいなと思っています。最近プライベートな記事も多いですが

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