盆前の最後の勤務日ということもあり打ち上げも兼ねて社内でいっぱい飲んできました。そんな中で新入社員募集に関して悩んでいる部分を吐露していましたので、その内容からこれからどうしていくか?若手指導をどのようにしていくかを考察してみます。
私の従事する建設業・内装仕上げ工事店の営業というのは、得意先の建設会社への営業活動・顧客管理の他に、一般顧客への対応、そして大部分が建設現場の工程管理、品質管理、原価管理等の建築施工管理技士の内容になります。
一般の営業を考えると、定位置に決まった店舗や施設など、または決まったお家を訪問して回るある程度長期的にルートを決めて回り契約を取れればいい場合が多いですが、建築業ですと建設会社の位置は変わりませんが、先ほどの現場管理の部分で回る先が現場ごとにコロコロ変わり、年間通じてのルート案を作りにくい業態になります。
その為現場の場所によっては、既定の時間内に業務を終わらせることが難しいことも多くあり、労働基準法上の週40時間、月200時間という基準で考えると移動時間で大半をつぶしてしまう事もあります。また、1日中施工管理をしていると、その他の原価管理や発注業務などをする時間も足りませんし、見積りなどの業務も時間が足りません。
数週間~数か月にまたがるような工事を出来れば、現場管理をしながら他の業務をすることも出来るかもしれませんが、内装仕上げ工事というものは住宅でも多くて2週間程度、大型の物件でも数か月かかってもその分常駐して現場管理できるほどの予算を出してもらえる場合も無く、他の現場との併用しないといけない業態です。
そういった意味で長時間労働になりがちな為、新入社員募集時点で敬遠されがちです。
先程少し触れましたが、1件辺りの利益が薄い部分にも問題があります。営業がいくら経理以外の業務をしても諸経費なども考えると営業に回る金額というのは50%あれば多い方です。住宅1軒辺り5万円の利益が出たとしても月に10軒程度では給料が25万にも満たないという事になります。
現実的には営業の給料などに回せる金額は30%程度で、残りは会社の運営コストということになります。そうなると15万程度まで落ち込んでしまいますので新卒平均以下、最低賃金以下ということになってしまいます。ということで実際はもっと物件数を持たないと十分な給料になりません。
新入社員には1週間に1軒、月に4軒回せるように出来れば、100%給料に回せば最低限稼げてはいますけども、現実的には会社経費など全く出ず教育費がかかってるという事と、例で1軒5万としましたが、実際は同じ家・同じ場所・同じ内容ということはありません。大きい家もあれば小さい家もある。遠方の家もあれば近場の家もある。大工さんの下地の良し悪しもあれば工程の変更、他業種との調整など予定通り、予想通りいく事はまずありません。
製造業でしたら1時間当たり〇〇個製造できます!など製造ラインのペースが決まっており、そのペースに合わせれさえすれば実務経験の多い少ないに関わらず予定通りの生産になりやすいですが、建築においてはその予定通りになる事が困難です。その為予定通りに組むことが難しいですよね。
また、能力の差も如実に出やすい仕事で、同一労働同一賃金の観点から月に10軒を定時でこなせる人と、月に4軒しかこなせない人が残業をしないといけないとなると、残業費支払いを考えると10軒こなせる人の給料水準を下げないと4軒の人の給料は100%を超えてしまい会社からの出しどころがなくなってしまいます。
それを考えるとできる人の給料を上げにくいし、出来ない人を定時で上がれるようにしながら数をこなせるようにしていくという育成方針がなかなか難しいというジレンマに苛まれているそうです。
その他にも、もし出来ない人として長期にわたって育ってしまった場合、労働基準法に守られている為に解雇も難しく、労働時間的に遠方に行かすわけにもいかない。サボっていても営業で回っている時は管理もしにくい。など様々な問題を含んでいて悩ましいようです。
定時に済ませて新入社員が入って育成して、ダメな社員が出来てもフォローしながらやっていけるだけの水準を単価に反映しようと思うと、今度は請負金額を大幅に上げなければなりません。そうすると今度は仕事を取ることが難しくなってしまい、仕事量が減ることにより支払いするだけの確保が難しくなります。
その為社長は八方塞がりの状態で会社経営をしている事が見て取れます。
欧米のような年俸制の給料形態が合いそうな業種ですので、それを採用した上で新入社員には給料制、年俸制に移行するのが難しそうな場合は解雇できるといった、労働基準法の方が歩み寄ってもらえればもう少し自由に雇用していけるのではないかと感じました。そうなると私も20%程度アップした金額で年俸にしてもらうんですけどね。
文句あれば独立するしかないかなという風に考えてしまい、現行制度がもうちょっと柔軟な制度に変わると会社も労働者の給料面でもいいのではないでしょうかね?20年間日本人の給料水準が上がらないというのも国がガチガチに労働者保護の方向にやりすぎてしまった影響だと考えてしまいました。


