先日、とあるメーカーの展示会に行ってきました。そして今日も、別のメーカーの展示会へ。
2つともメーカーの新作発表をメインとして、自社の商品紹介や商品知識の拡散を目的とした展示会です。
私の場合、仕事柄どちらのメーカーの商品も大抵のことは既に知っています。
新商品についても発売前からカタログや資料などで情報は入ってきますので、展示会へ行って初めて知るという商品はそれほどありません。
「現物を見るのは初めて」というものはありますけど、極端な話をすれば、別に展示会へ行かなくても仕事には困らないんですよね。
では、なぜ行くのか?
半分くらいは「お付き合い」です。
メーカー側からすれば、会場を借りて、展示物を準備して、社員も大勢動員して、それなりの費用をかけて開催するイベントです。
当然、人が来なければ開催する意味がありません。
各担当営業さんとしても、自分の担当している企業から何人来てくれたのかというのは気になるでしょうし、場合によっては営業成績や社内評価にも関係しているのかもしれません。
そう考えると、
「いつもお世話になっている担当さんだし、顔くらい出しておくか」
となります。
これも取引先との関係を維持するための仕事の一つでしょう。
ただ、こういう展示会へ行くと最後にかなりの確率で待っているものがあります。
「今回の展示会はいかがでしたか?」
「気になった商品はありましたか?」
といったアンケートです。
これがですね……。
正直、超めんどくさい。
そもそも半分お付き合いで来ています。
メーカーが開催したい展示会に来て、担当営業さんの顔を立てるために時間を使って、商品の説明を聞いて、
「じゃあ最後にアンケートお願いします!」
となると、
「まだ私の時間使うの?」
という気持ちにもなります。
もちろんメーカーとして来場者の感想を集めたい理由は分かります。
次回の商品開発や展示会運営に生かしたいでしょうし、どの商品への反応が良かったのかというデータも欲しいでしょう。
でも、それは全部「メーカー側が欲しいもの」なんですよね。
展示会を開催したいのもメーカー。
人に来てもらいたいのもメーカー。
商品の説明を聞いてもらいたいのもメーカー。
最後にアンケートを書いてもらいたいのもメーカー。
気が付けば、最初から最後まで全部メーカー都合になっています。
そこで面白かったのが、今回参加した2つの展示会の違いです。
先日行った展示会では、アンケートなどに協力すると「自社のオリジナルステッカーをプレゼント」という感じでした。
申し訳ないですが、私は要りません。
まだボールペンでも貰った方が仕事で使えるだけありがたい。
メーカーからすれば自社のロゴが入ったステッカーを作って配れば宣伝にもなるのでしょう。
でも受け取る側からすると、
「メーカーの宣伝をするための物を貰った」
くらいの感覚です。
一方、今日行った展示会。
こちらも最後にアンケートへの回答をお願いされるところまでは同じでした。
違ったのはその後。
アンケートに回答すると、くじ引きができます。
1等なら結構豪華な商品。
2等でもそれなりに嬉しい商品。
そして外れても参加賞。
もちろん、
「1等なんて1本くらいでしょ?」
「2等だって5本くらいじゃない?」
「外れクジなんて減ったら足してるんじゃないの?」
なんてひねくれたことも考えます(笑)
でも、それでも良いんですよ。
重要なのは「当たるかもしれない」ということ。
アンケートを書くという行為自体は、どちらの展示会でも同じです。
面倒なのも同じ。
それなのに、
「アンケート書いたらステッカーあげます」
と、
「アンケート書いたら豪華賞品が当たるかもしれません」
では、受け取る側の気持ちは全然違います。
前者は、
「アンケートを書かされた」
になりやすい。
後者は、
「アンケート書いたら、くじ引きできる!」
になります。
やっていることはほぼ同じなのに、最後に残る感情が違うんですよね。
これって結構重要なことなんじゃないでしょうか。
そもそも人間って「もしかしたら何か貰える」というのが好きです。
宝くじだってそう。
ギャンブルだってそう。
お金を払って、当たるかどうか分からないものにワクワクしています。
展示会のくじ引きなんて、それに比べれば自分のお金すら使いません。
数分アンケートを書くだけ。
言ってしまえば「面倒なアンケートを書く」という小さな先行投資で、「もしかしたら良い物が当たる」というチャンスを買っているようなものです。
だったら、
「全員に大して欲しくもない物を配ります」
より、
「ほとんどの人は参加賞だけど、誰かには良い物が当たります」
の方が、同じ予算を使うにしてもワクワク感は圧倒的に大きいんじゃないでしょうか。
仮にオリジナルステッカーを大量に作るのに数万円かかるのであれば、その数万円を1等の商品にしてしまってもいい。
もう少し予算を出して、1等、2等、3等、参加賞まで含めて10万円使ったとしても、それによって来場者が、
「今年の展示会、なんか面白かったな」
と思って帰ってくれるなら、イベント全体にかかっている費用から考えれば決して大きな金額ではない気がします。
もちろんステッカーを「ゴミ」とまで言ってしまうのは言い過ぎです。
欲しい人もいるでしょうから、そこは誇張ということで……(笑)
ただ、今回2つの展示会へ行って感じたのは、
「何かをしてもらいたいなら、やらされている感を減らす工夫って大切だな」
ということです。
これは展示会だけの話でもないと思います。
会社でも、お客さん相手でも、部下や同僚に何かお願いするときでも、
「こちらが必要だからやってください」
だけでは、相手にとっては単なる負担です。
でも、そこにほんの少しでも、
「やったら何か良いことがある」
「ちょっと面白そう」
「せっかくだからやってみよう」
と思える仕掛けがあれば、同じお願いでも受け取られ方は変わります。
特に展示会の場合、メーカーには忘れてほしくないことがあります。
来場者は、展示会へ来るために何かを失っています。
交通費かもしれません。
仕事を止めているかもしれません。
何より確実に使っているのが「時間」です。
メーカーにとっては何カ月も準備してきた大イベントでも、来場者にとっては忙しい仕事の途中で時間を作って参加しているイベントかもしれません。
だったら、
「来てくれてありがとうございます」
を言葉だけで終わらせるのではなく、
「せっかく来てくれたんだから、ちょっと楽しんで帰ってもらおう」
という来場者ファーストの考え方があってもいいんじゃないでしょうか。
今回参加した2つの展示会。
商品の内容そのものに大きな差があったわけではありません。
それでも帰る時の印象には、結構な差がありました。
片方は、
「展示会行って、最後にアンケートまで書かされた」
もう片方は、
「展示会行って、最後にくじ引きした。当たらんかったけど(笑)」
です。
たったこれだけの違いなんですけどね。
でもイベントが終わった後に残る記憶としては、この差って意外と大きいと思います。
メーカー都合で開催するイベントだからこそ、いかにそれを「メーカー都合だけのイベント」に感じさせないか。
何かをしてもらいたい時には、
「お願いする」だけではなく、「ちょっとワクワクさせる」。
そんな仕掛けを一つ入れるだけでも、相手が感じる負担は随分変わるのかもしれません。
先日の展示会も、次回はステッカーだけじゃなく、
「おっ!何か当たるかも?」
くらいワクワクさせてくれたらいいんですけどね~。