今日、ちょっと年配……と言っても50代後半の方とお話しする機会がありました。
そこそこ規模の大きな会社に勤めている役員クラスの方です。
どうやら早期退職の話が出ているらしく、転職も視野に入れているとのこと。
「まだ隠居するほど歳でもないし、元気だし。でもこのまま大手に居続けるのも正直しんどい」と、よく聞く本音でした。
そんな流れの中で、
「中小企業で働けないか考えててさ。クロスさんのところで何か出来ない?」
という話に。
内装工事とはほぼ無縁の業界でキャリアを積まれてきた方だったので、率直に聞いてみました。
「正直、何が出来ます?」
すると返ってきたのが、
「若い頃は営業やってたし、管理職になってからは営業のマネジメントしてたから、その辺のこと出来ない?」
という答え。
たしかに大手企業であれば、
「営業だけ」「人事で管理するだけ」「経理だけ」といったように、
一つの分野を極めるスペシャリストとして働くことが成立します。
でも、地方の中小企業はまったく事情が違います。
社長ですら、
会社の数字を見ながら、営業もして、場合によっては現場にも出る。
いわゆるプレーイングマネジャーが当たり前の世界です。
私自身も管理職という肩書きはありますが、
実態としてはプレーヤーの比重の方が圧倒的に大きいです。
特に内装仕上げ工事の営業職となると、
- 営業としての対外折衝
- 商材(クロス・床材・建材など)の知識
- 現場の流れや施工内容の理解
- 職人さんの手配・管理
- 見積り作成
- 受注・発注
- 安全書類の作成
- 請求業務
と、「営業」という一言では片付かない業務が山ほどあります。
「営業だけやってきました」という経験は、
正直この業界では即戦力にはなりにくいのが現実です。
経理専任であればまだ可能性はありますが、
中小企業では経理はせいぜい1人、多くても2人。
そうそうポジションが空くものでもありません。
そう考えると、
50代後半からこれらの業務を一から覚えていくのは、
本人にとっても、受け入れる側にとっても、かなり厳しい。
「若い頃から安月給でも積み重ねて、ゼネラリストとして育ってほしい」
……と言いたいところですが、
今の労働環境でそれを求めるのも、また難しい時代です。
もちろん、大企業の管理職クラスを採用できれば、
- これまでになかった仕事の進め方
- 新しい視点
- 人脈
といった、非常に魅力的なものを得られる可能性もあります。
ただしそれは、
継続的に発生する人件費やコストと釣り合うか?
というシビアな判断と常にセットになります。
中小企業では、
- どこか一分野で100点の人
よりも - 全分野で60点を安定して出せる人
の方が、結果的に重宝されるケースが多いと感じます。
今回の話も社長に共有しましたが、
結論はやはり、
「うーん……正直、ちょっと難しいね」
というものでした。
売り手有利の転職市場と言われていますが、
それはあくまで若い世代の話。
中高年になってくると、
「肩書き」や「過去の役職」よりも、
知識・経験・人脈を横断的に活かせるかどうかが問われます。
そして何より怖いのは、
自分自身ももう、その「難しいかな」と言われる側の年代に差し掛かっているという現実。
いざその立場になった時に
「いらない」と言われないように。
専門分野だけに閉じこもらず、
他分野の仕事もこなせる人材であり続けたいなと、
改めて感じた出来事でした。