先日から、私のニュース欄にやたらと目に入ってくる話題があります。
それが「ボーナス」。
「冬のボーナスの平均は45万円」
「公務員のボーナス平均は100万円」
「大手企業では数百万円」
「転職したら冬のボーナスが200万円になった」
…とにかく、ボーナス、ボーナス、ボーナス。
ですが、私のいる世界はどうでしょうか。
いわゆる中小零細企業と呼ばれるところです。
日頃の給料については、ありがたいことにそれなりに評価してもらっている部分もあり、
「じゃあ転職だ!」と簡単に踏み切れるほど不満があるわけでもありません。
一方で、個人としての成果はそれなりに上げているつもりです。
ですが会社全体としては業績が芳しくなく、
今回も結果は「ボーナスは寸志程度」。
こういう話、珍しくないですよね。
そもそもボーナスって、何だったんでしたっけ?
ここで一度、原点に立ち返ってみます。
ボーナスの原型は、古くは江戸時代まで遡ります。
商家では、奉公人に対して
- 繁忙期の手当
- 業績へのご褒美
- 忠誠心への恩賞
として、金品や反物などを渡していました。
これが、現在のボーナスの原型です。
明治〜大正期になると、西洋式の賃金制度が導入されますが、
- 物価変動が激しい
- 賃金水準が低い
という事情から、
「繁忙期手当」
「決算手当」
「年末手当」
といった形で、基本給とは別の一時金が支給されるようになります。
決定打は戦後と高度経済成長期
現在のボーナス制度を決定づけたのは、
戦後〜高度経済成長期です。
この時代、労働者は労働組合としてまとまり、
- ベースアップ
- 一時金(ボーナス)
の両方を要求しました。
一方、企業側にとっては、
- ベースアップ → 固定費増
- ボーナス → 業績次第で調整可能
という事情があり、
**ボーナスは「賃金の調整弁」**として非常に都合の良い仕組みでした。
「景気が良ければ出す」
「悪ければ減らす・出さない」
これが、本来のボーナスの役割です。
そして公務員にもボーナスが導入された
ところがこの流れの中で、
「民間との格差」を理由に、公務員にも賞与が導入されていきます。
ここで、ボーナスの意味合いが大きく変わります。
本来は
👉 企業の出過ぎた利益の分配
だったはずのものが、
- 年12回以外に支給される賃金
- 業績とは直接結びつかないもの
- 公務員にも当然のように支給されるもの
という位置づけになっていきました。
つまり、
**「成果へのご褒美」から「あるのが前提の収入」**へ。
その歪みが一番出ているのが中小零細企業
一方で、中小零細企業ではどうでしょう。
ボーナスは今もなお
**「企業業績連動」**の側面が強く残っています。
- 個人は頑張っている
- 数字も作っている
- 現場も回している
それでも、
- 材料高騰
- 元請けの単価下落
- 外部環境の悪化
などで、会社全体の利益が出なければ
「ボーナスは出せない」。
結果として、
頑張った人ほど報われない
成果と報酬が噛み合わない
という状況が生まれます。
公務員が最強に見えるのも無理はない
こうして見ると、現在の公務員は
- 解雇されない
- ボーナスは5か月分以上
- 倒産もない
- 不景気でも安定
- ルール通り休める
という、かなりの好条件。
余程の能力がある人以外、
「公務員を目指すのが最適解」と言われても不思議ではありません。
正直な話、
今となっては私も「公務員になっておけば良かったな」と思う側です。
雇用制度は欧米式、ボーナスだけ日本式
今の日本は、
- 終身雇用の崩壊
- 年功序列の否定
- 転職前提の社会
と、雇用形態は明らかに欧米式に寄っています。
ところが、
ボーナス制度だけが日本式のまま残っている。
転職時の賃金水準を見ても、
- 大手企業
- 公務員
は、ボーナス込みの年収が想像しやすい。
一方で中小零細企業は、
- 業績次第
- 出るかどうか分からない
- 金額も不透明
結果として、比較すらしにくい状況になります。
もう「ボーナス前提」の制度は限界では?
個人的には、
- ボーナス無し
- 年俸制
- 成果主義
の方が、よほど分かりやすいと思っています。
公務員もボーナスを廃し、
- 年間トータルでの賃金
- 民間との比較がしやすい仕組み
にした方が、納得感は高いはずです。
経済を支えているのは「ニュースに出ない8割」
派手なボーナスニュースに登場するのは、
ほんの一部の人たちです。
実際に日本経済を支えているのは、
こういったニュースに出てこない8割の一般人。
その8割の人たちの
- 自己肯定感を下げ
- 仕事への自信を削ぎ
かねない情報ばかりが溢れているのは、
あまり健全とは言えない気がします。
制度を変えるなら、全体で見直すべき
税制も含めて「欧米式」を取り入れるのは構いません。
ですが、
- 雇用制度だけ
- 評価制度だけ
を切り取って進めるのではなく、
全体の制度設計を見直しながら進めないと歪みが広がると思います。
冬のボーナスは寸志でしたけど、
決算賞与では個人の成果をちゃんと評価してもらいたいものですね。
……もし貰えなかったら。
その時は、ベースアップを多めに要求してみようと思います。