AIとのやりとりは、便利でスピーディ。
とはいえ「正確な答え」が欲しい時ほど、こちらの伝え方や、AI側の処理過程に落とし穴があります。
今回は、私が政治ネタの記事を書こうと考えたときにふと感じた「アレコレ政策が出るけど、財源って本当にあるの?」という疑問から始まりました。
「これまで使われていた予算の中で、今は不要になったものは? その分って、財源として回せないの?」という疑問のもと、ChatGPTに「戦没遺族年金の財源と受給者数・支給額の推移」を調べてもらうことにしました。
【1】依頼した内容とミスの内容
私がChatGPTに依頼したのは、次のようなシンプルな内容でした:
戦没遺族年金の財源と1990年頃と現在の受給者数、受給金額の比較を調べてください
ところが、返ってきた回答には明らかな誤りが。
1990年当時の受給者数を「10万人」、平均支給額を「150万円」としながら、総支給額を「150億円」と記載していました。
いやいや、
10万人 × 150万円 = 1,500億円
ですから、これは完全に桁を一つ間違えています。
しかもその誤りを指摘して修正された後、今度は2020年の方で、
「受給者数:5,000人、平均支給額:170万円」なのに、総支給額を「8.5億円」と誤記。
正しくは、
5,000人 × 170万円 = 85億円
ですよね?
まさかの2連続「桁ミス」です。
【2】なぜこんなミスが起きたのか?
AI側の処理として、主に以下の原因が考えられます:
- 数値の掛け算で桁を一つ少なく扱ってしまった(10万人を1万人と誤読)
- 文中で数値を使い回す過程で整合性チェックが甘くなった
- あくまで“推定値”として処理していたため、精密な検算が省略された
【3】伝える側にも原因がある?
実は、こちらの伝え方(プロンプト)にも工夫の余地がありました。
改善前のプロンプト:
比較を調べてください
改善後のプロンプト案:
1990年と2020年の戦没遺族年金について、受給者数・平均支給額・総支給額を表にして出力してください。掛け算した総額は、計算式も併記してください。
さらに一歩踏み込むなら:
単位の表記は「億円」単位で統一してください。
出力前に、計算ミスがないかを再チェックしてから回答してください。
こんな風に、**「求めたい情報の粒度」「出力形式」「検算依頼」**まで加えることで、AIの精度は飛躍的に高まります。
【4】AIは万能ではない。でも「使い方次第」
今回のやり取りで、改めて実感しました。
AIは計算も文章生成も得意ですが、与えられた前提や意図があいまいだと、人間と同じようにミスをします。
たとえば:
- 総額を出してもらうときは「計算式も出して」と依頼する
- 「億」「万」の単位が混在しそうなときは「単位を統一して」と指示する
- 推定値を含む場合は「出典も示してください」と明記する
こういった配慮を加えるだけで、AIのパフォーマンスは確実に変わってきます。
【5】なぜこんなことを調べようとしたのか?
本来の目的は、「財源はどこにあるのか?」という問いでした。
戦没遺族年金のように、年々受給者が減っている制度は、支出も減っていくはずです。
しかし、現実にはその分浮いたお金が別の支出に回され、「結果的に支出が減っていない」なんて話も。
たとえば、ガソリン税の「暫定税率」。
もともとは道路整備のための特定財源だったものが、後に一般財源化され、別の使い道に回されている。
こうした例は、他にもたくさんあります。
つまり、「支出が減った分=余ったお金」ではないということ。
浮いた分は、ちゃんと次の支出に吸収されていく。だから、税金が減らないのも当然なんですよね。
【まとめ】プロンプトの工夫でAIはもっと賢くなる
今回のようなミスは、むしろ「AIを使いこなす練習問題」だったのかもしれません。
AIの失敗に気づける力、そしてその背景にある自分の問いの曖昧さを見直すこと。
これこそが、フェイクや錯覚を見抜く力=リテラシーにもつながるのだと思います。
最近は「AIが教えてくれるから、もう勉強しなくていい」という子どももいますが、それを使う人間が誤りに気づけない世界では、真実はますます遠のいてしまいます。
明日は、ちゃんと「税金」についての記事を書こうと思います。