金融系のブログやチャンネルで、墓場までお金は持って行けないので生命保険は要りませんとか、ガンなど罹患して高額医療になっても高額医療保障制度があるので加入しなくていいとかいう情報が沢山溢れています。
その分保険掛ける予定金額分だけ非常時に対応できるお金を蓄えておいて対応できれば大丈夫ですという理屈でありました。
入るべき保険は、自身の貯えだけで対処が出来ない可能性が高い保険。車に関する人身や物損なんかは分かりやすい例で、人を撥ねてしまうと億単位の賠償の場合もありますし、物損でも電柱を倒してしまうと数千万というのも良く聞きます。
逆に車両保険なんかに関しては自身で貯えをしておく。最悪車が無くなっても何とかなる場合がありますよね。しかも数年おきに買い替えないといけない事を考えると、保険掛け金分だけ貯えに回す事と、買い替え費用を貯めておく事の合わせで考えると実質加入理由が無い事が理解できます。
本題はここから。
建設現場に入る職人さんって業種によって違いはありますが、内装仕上げの業種の職人さんって【一人親方】と言われる個人事業主の職人さんが多くいます。
建設現場の労災保険というのは、一般の企業での感覚での労災保険とちょっと違うのですが、元請けで保険加入主である事業者(今回はA建設)の社員は当然ながら労災保険に適用される対象になります。
下請けである会社(B内装)の「従業員」はA建設の社員ではありませんが、現場の労災保険に適用される対象となります。
B内装の仕事をずっとこなしているCさんは、一人親方の職人さんでB内装の従業員ではありません。もちろんA建設の従業員でもありません。
そこで加入する必要が出てくるのが「一人親方労災保険」になります。
そんなの入りたくないからB内装を無くしてCさんが直接取引すれば対象にならないの?っと言われたこともあるのですが、Cさんは労働者ではなく事業主になります。
事業主と従業員(労働者)は明確に区分されており、労災保険も正式名で言うと「労働者災害補償保険」ということで、保証されるのは労働者に限られています。ですが、実質的に労働者的な働き方をする職人さんが多いという事で特別に設定されている保険が一人親方労災保険になります。
昔はこの一人親方労災保険にすら入らず現場に入っていて労災事故を起こし保証が無く大変だった事例が沢山あります。最近では最低保証10000円/日以上の保険加入で無ければ現場入場すら認められないという場合も増えてきました。
実際、最低3500円/日~の加入が出来るこの保険ですが、最低料金になりますので全額保証されない場合もチラホラあるようです。先の自動車の例でいうと人身・対物が無制限で無いような感じですね。
さらにさらに、一人親方の保険加入は順調に増えていたものの、もう一点困った問題が、「事業主」という立場の人が保険に入っていない例。
B内装の従業員が現場管理をしていて事故にあうと労働者ですので労災となります。しかしB内装の「事業主」という人が現場で災害にあうと労働者では無いので保証されません。
ここ10年くらいで元の事業主から事業継承した2代目・3代目という会社が一気に増えました。
先代が現役で徐々に継承した場合はまだ良いのでしょうけれど、先代の急死などに伴い急遽継承した場合、こういった制度的なものを理解しないまま継承して事故にあい会社が更なる窮地に追い込まれたというのも聞きました。
自身の怪我だけで済めば、車両保険と同じように自身の払える範囲のお金を確保できていれば対応できるでしょうけれど、労災というのは自身だけで済むとは限りません。
建設業であれば建物に対する損害がある場合もあれば、一緒に巻き込まれる別の人が居るという場合の災害もあるでしょう。対物・対人部分には無制限で無いといけないというのがこの部分になります。
ですので、必ず事業主・一人親方というのが保険に入っていないといけないのがよくわかります。
古くから建設業に従事している方であればこの辺りが制度変更時期に併せて見聞きしたり勉強会があったりするので理解されているでしょうが、近年職人さんを始めた方であったり、独立ブームに乗って会社を独立された方の中には理解されていない人が多くいるようです。
「労働者」という立場でこれらの制度から守られながら生活していた人が、浅い考えで独立してしまうと、問題に直面しているようですね。
労災は自身の注意だけで回避できるものではなく、周囲との関係でも発生することもあります。巻込んでしまう事もあります。お金が無限にある人以外は加入しておく必要がありそうですね。
別の問題点もあるのでこちらもまた紹介します。